「系統と系統樹」進化とは?わかりやすく解説(生物の多様性)
高校生物で学習する「生物の多様性」について、生物の「種」とはなにか、進化とはなにか、系統と系統樹とはなにか、相同とはなにか。イラストや例えを使ってテスト対策となるポイントをわかりやすく解説するよ。
目次
生物の「種」とは
「種」とは、同じような特徴をもった生き物の集まりで、生物を分類する基本的な単位のことだよ。
たとえば、イヌという種は、嗅覚がとても鋭いなど、同じような特徴をもっているよね。
でも、同じイヌでも、チワワやゴールデンレトリーバーなどいろいろな種類がいるよね。
大きさやしっぽの形や耳の形、毛の色だって全然違うことがあるけれど、それでも「同じ種」といえるのかな?
生物の種を分類する基準はいくつかあるんだけれど、じつは基本となっている基準は
「その生き物同士で子どもができるか、また、その子も子孫を作っていけるか(繁殖可能か)」
なんだ。
つまり、イヌとネコは結婚しても子どもはできないよね。
でも、チワワとプードルは見た目は違うけれど、チワワとプードルの両親からは子どもができて、子もまた子をのこすことができるので、生物上は同じ「イヌ」という種である、と考えることができるということ。
ちょっとややこしいけれど、チワワやプードルは、「イヌ」というおなじ種なんだけれど、「イヌ」という種をさらに品種でわけた「犬種」が違う、ということだね。
さて、地球上には、実に様々な生物の種がいるよね。
イヌやネコの他にも、動物園にいる大きなゾウやライオンは、もともとは草原に暮らしているよね。
空を飛ぶ鳥や、水中に生息する魚もいるね。
植物も、さまざまな種が地球上の様々な環境に育っています。また、私たちの目に見えないぐらい小さな生き物、微生物もたくさんいます。
これまでに、なんと約190万種類の生物の種が確認されて、名前が付けられているんだよ。
ところで、どうして地球上にはこんなにも多様な種がいるのかな?
地球上には陸、水中、空、さまざまな環境があるよね。
生物は、そんな色々な環境の中でも餌をとって、子孫を残して、環境に適応して生き延びていくうちに、長い年月をかけて体が「進化」していったんだ。
その「進化」の中で、いろいろな種が生まれていったと考えられているよ。
地球上にはまだまだ見つかっていない、名前がついていない種がたくさんあるといわれていて、毎年新たな種が見つかっているんだ。
最近も、野外活動中の高校生が新種を発見して学術誌に発表したという例があるよ。
そう、生き物の世界はまだまだわかっていないことがたくさんあるんだね。
進化とは
「進化」とは、長い年月をかけて親から子へ代を重ねるうちに、生物の体の特徴が変化すること。
いったいどうしてこのような変化が起こるのかな?
「種の起源」という本で進化論を発表したチャールズ・ダーウィンは、「自然選択説」で進化がおこることを説明したよ。
たとえば、みんなは「ヒト」という種で、それぞれに個性があるよね。
身長が高い・低いとか、髪がまっすぐかカールしてるかとか。
つまり、生物は同じ種であっても、個体間に違いがあるんだ。そして、その性質の一部は親から子へと伝わるよ。
お母さんお父さんが背が高いと、子供たちも背が高くなったりするよね。
さて、生存(生き残っていくこと)する環境がよくて、生物がどんどん繁殖して増えていくと、やがて、その環境に対して生物が多すぎる状態になることがあるよね。
つまり、えさがたくさんあるとか、天敵がいないとか、気候がすごく合っているとか。
でも、そうやって生物が増えすぎてしまうと、やがてはお互いが取り合ってしまってえさが足りなくなったり、生活する場所がなくなったりしてしまうよね。
そうなると、増えすぎた生物の中でも、たとえば他の個体よりも足が速くて、えものを捕まえやすいとか、力が強いとか、背が高くて高いところの果物もとることができるとか、「生き残るのに有利な性質を持った個体」が生き残っていって、子孫をより多く残していくことができるんだ。
そしてその性質が子や孫へ伝わって、生き残った生物はその性質を持っている個体が多くなっていくよ。
それが積み重なって、何代か前の生物とは体の特徴が変わっていくというわけだね。
そう、生物には環境に適応して生き残っていくなかで、生存に有利なように体の特徴が変わる進化が起こるんだね。
そしてこのように、自然環境が生物の進化をうながしていくという考えを、自然選択(自然淘汰)説というんだ。※「淘汰」とは、環境に適応することができなかった個体が生存競争に負けてほろびてしまうことだよ。
この他にも、地球の環境の大きな変化や、DNAの突然変異など、様々な要因で生物の進化は起こるといわれているよ。
地球の歴史を見ると、自然環境は一定のままではないね。
氷河期で気温が大きく下がったり、巨大な隕石が衝突したり、長い歴史の中で大きな環境の変化を繰り返してきたよね。
環境が大きく変化するたびに、恐竜のように絶滅してしまった生物や、かろうじて生き延び、進化していった生物がいるし、それらの一部は化石として残っているね。
進化は、大きく変わる環境の中で、生物が必死に命をつないできた証でもあるんだね。
ところで、ゲームなんかで「ポ〇モンが進化した」とか、有名なスポーツ選手が練習で成長すると「○○選手の成長!」なんていうように、一般的にも「進化」という言葉を使うことがあるね。
でも、これらは「一つの個体の「変身」や「成長」」という意味でいわれることがあり、生物でいう何世代もかけて特徴が変化していく進化とは違う意味の場合があるので、ちゃんと区別しておこうね。
系統と系統樹とは
このように、生物は今も進化をしていて、多様化(多くの種類にわかれること)し続けているね。
地球上に動物、植物、微生物など、実に様々な種がいるのは、生物が環境に適応して進化して、生き延びてきた結果だというわけだね。
じゃあ逆に、生物の進化を「昔へとさかのぼっていく」とどうなるかな?
共通祖先とは
じつは、そうやってさかのぼっていくと、「一つの生き物にたどり着く」のではないかと考えられいて、その「一つの生き物」のことを、すべての生物の「共通祖先」と呼ぶよ。
動物も植物も微生物も、すべて同じ共通祖先から進化したと考えるのは、少し不思議だね。だって、全然違う生き物だから。
系統と系統樹とは
このように、生物は今も進化をしていて、多様化(多くの種類にわかれること)し続けているね。
地球上に動物、植物、微生物など、実に様々な種がいるのは、生物が環境に適応して進化して、生き延びてきた結果だというわけだね。
じゃあ逆に、生物の進化を「昔へとさかのぼっていく」とどうなるかな?
共通祖先とは
じつは、そうやってさかのぼっていくと、「一つの生き物にたどり着く」のではないかと考えられいて、その「一つの生き物」のことを、すべての生物の「共通祖先」と呼ぶよ。
動物も植物も微生物も、すべて同じ共通祖先から進化したと考えるのは、少し不思議だね。だって、全然違う生き物だから。
でも、すべての生き物には、いくつかの「共通した特徴」もあるんだ。
この先学習していく「細胞」「代謝」「遺伝」などの仕組みがそう。
「共通祖先」がこれらの特徴を持っていたので、その子孫である生物はすべてこの共通の特徴を持っているといわれているよ。
共通祖先から、「飛べるようになった」とか、「四足歩行をするようになった」なんていうように、枝分かれをするように進化していったから、今はさまざまな種が存在するというわけだね。
系統とは
こんなふうに生物は、共通祖先から枝分かれするように進化していったと考えられているんだけれど、じゃあいつ、どのように分かれたのかな。
たとえば、きみたち「ヒト」を含む動物と、植物とでは、体の特徴がかなり異なるけれど、植物も呼吸をするので「酸素を使って呼吸をすること」は共通しているよね。
生物の共通祖先は、進化の結果、ある時「酸素を使って呼吸すること」を獲得したというわけだね。その後、動物と植物は「枝分かれして」進化して、植物は「光合成」を獲得したよ。だけど、動物はその前に枝分かれしてしまっているので、光合成をすることができないままになってしまうんだ。
このように、生物に共通する特徴で考えたり、現代ではDNAの共通性を調べたりして、生物がたどってきた進化の道筋はどのようなものだったか?を考えていくんだ。
この進化の道筋を「系統」というよ。
「系統」という言葉は、「つながり」という意味をもっているよ。
そして、この「系統」の枝分かれた様子がわかるように表した図を「系統樹」というよ。
系統が枝分かれする様子が、まるで樹木のように見えるから「系統樹」なんだね。
進化の証拠と相同
では、どのように進化が起こっていったのか、脊椎(せきつい)動物を例に見てみよう。
「脊椎動物」とは、「脊椎」をもつ動物の仲間のことだね。
「脊椎」とは、首からおしりまでの骨が連なった部分で、一般的には背骨といわれるよ。
生物の体を支える骨格であると同時に、中に脳からつながる神経が通っているよ。筋肉に脳からの命令を届ける運動神経や、感覚を脳に伝える感覚神経などの大事な神経の通り道なんだ。
きみたちヒトをふくむ哺乳類や、鳥類、ヘビやトカゲなどの爬虫類、カエルなどの両生類、魚類はみんなこの脊椎をもっているので、脊椎動物といわれるよ。
ちなみに、脊椎動物かどうかの区別は、骨を見ると分かるんだ。
お魚を食べると、頭からしっぽまでの骨が残るよね。
だけど、エビやカニの中にはそのような骨はなくて、代わりに固い殻があるね。
タコやイカなんて骨すらなくて、口や背中のほうにちょっと固い部分があるくらい。
つまり、魚は脊椎を持っている脊椎動物だけど、エビやタコは脊椎を持っていないので脊椎動物ではないということ。脊椎とは別の仕組みで体を支えたり神経を伝えたりしているんだ。
地球上に一番初めに登場した脊椎動物は、海の中に住む魚類だったと考えられているよ。
38億年ほど前の地球には、紫外線を防いでくれるオゾン層がまだなかったんだ。「オゾン層」は酸素が化学変化してできるんだけど、当時の地球には酸素もまだなかったんだよ。
浅瀬や陸上には太陽からの強烈な紫外線が降り注いでいて、とても生物が住める環境ではなかったので、生物は海の中に住んでいたと考えられているんだ。
現在の植物プランクトンに近い、シアノバクテリアという生物が出現すると、光合成をおこなって酸素を空気中に大量に生み出すようになったよ。
酸素が化学変化して上空にオゾン層ができると、紫外線をやわらげ、現在のように地上に生物が住める環境になったんだ。
そして、生き物は地上に生活の場所を広げていったんだよ。
海の中で生きていた魚類の中にも、地上で生活するものが現れたんだ。
地上に適応していくと、少しずつ呼吸の仕組みや、地上で体を支える仕組みが進化していったんだ。
そしてある時、両手両足、すなわち四肢を獲得した生物が現れた。
四肢を持ち、陸上で体を支えることができるようになった生物は、陸上にどんどん生活範囲を広げていったよ。
卵を地上で産むしくみを獲得した生物が爬虫類になって、翼・羽毛を獲得した生物が鳥類に進化していったんだ。
それらの生き物はすべて四肢を持っていた。
進化の過程で獲得した性質は、その後進化がさらに進んでも、その子孫に受け継がれていくんだよ。
「あれ?でも、鳥は翼があるけど、両手はないよ?」と思ったかもしれないね。
実は、鳥の翼の骨から構造を調べてみると、前肢が翼に変化したということがわかるんだ。
脊椎動物の四肢のように、共通した祖先に由来し、もともと同じ器官であったと考えられる体の部分を「相同器官」と呼ぶよ。
互いに「相同」である、ともいうね。
「相同」は、「おなじ」という意味の言葉なんだ。
哺乳類であるクジラやイルカは、祖先が一度地上に上がってから、また水中での生活に戻っていった生物と考えられているよ。
クジラのひれの構造をよく調べてみると、これも前肢から変化したものということがわかるんだ。つまり、一度獲得した四肢が、それぞれの環境に合わせてさらに進化しているんだよ。
クジラのひれと鳥の翼は、海を泳ぐ、空を飛ぶという現在の役割が違っていても、四肢という同じ由来を持っていると考えられるので、互いに相同であるといえるんだ。
まとめ
生物の多様性(系統と系統樹・進化)まとめ
- 「種」とは、同じような特徴をもった生き物の集まりで、生物を分類する基本的な単位のこと
- 種の分類の基本は、「その生き物同士で子どもができるか、また、その子も子孫を作っていけるか(繁殖可能か)」
- 「進化」とは、長い年月をかけて親から子へ代を重ねるうちに、生物の体の特徴が変化すること
- 自然環境が生物の進化をうながしていくという考えを、自然選択(自然淘汰)説という
- 生物の進化をさかのぼっていた結果、一つの生き物にたどりつく。その一つ生物を「共通祖先」と呼ぶ。
- 生物がたどってきた進化の道筋を「系統」と呼ぶ。
- 「系統」の枝分かれた様子がわかるように表した図を「系統樹」という
- 「脊椎動物」とは、「脊椎」をもつ動物の仲間のこと
- 共通した祖先に由来し、もともと同じ器官であったと考えられる体の部分を「相同器官」と呼ぶ
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。