「細胞の特徴」真核細胞と原核細胞とは?構造をわかりやすく解説

高校生物で学習する「細胞の特徴」について、「真核細胞」とはなにか、「原核細胞」とはなにか、それぞれの共通する点や相違点などを、わかりやすく解説するよ。

生物は細胞でできている、という共通する特徴があるね。
「細胞」は、基本的な構造は同じなんだ。でも、大きさやようす、役割は違っているんだよ。
「真核細胞と原核細胞」について、学習していこう。

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「細胞の特徴」真核細胞と原核細胞とは? 構造をわかりやすく解説

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目次

真核細胞と原核細胞の違いとは

生物の細胞内部の構造をよく調べてみると、核を持つ「真核細胞」と、核を持たない「原核細胞」があることがわかったんだ。

動物や植物の細胞を顕微鏡で観察すると、大きな丸い物体があるんだ。それが核だよ。
大きさはまちまちだけど、どの真核細胞にもあるんだ。そして、核の中には酢酸オルセインや酢酸カーミンという染色液できれいに染まる部分、染色体があるんだ。

この染色体は、DNAがタンパク質で折りたたまれて、顕微鏡で見えるぐらいになったものなんだ。つまり、核の中には生物の情報を蓄えるDNAが入っているんだね。

真核細胞の構造のイラスト

ところが、細菌やバクテリアの細胞を顕微鏡で見てみても、核が見つからないんだ。

細菌やバクテリアも生物だから、生物の情報を蓄えるDNAを持っている。
核がないのに、DNAはどこにあるのかというと、細胞の中にそのままの状態でDNAがあるんだ。

真核細胞は、DNAが核という丈夫な入れ物にきちんと収納してある。
原核細胞は、DNAが細胞内にそのままある。

「真核細胞」は「真」に「核」を持っている細胞。
「原核細胞」は核という入れ物は無くて、「原始的な」仕組みをもつ細胞、そんなイメージだよ。

原核細胞の構造について説明するイラスト

真核細胞と原核細胞 まとめ

  • 真核細胞は、DNAが核という丈夫な入れ物にきちんと収納してある。
  • 原核細胞は、DNAが細胞内にそのままある。

真核細胞とは?構造を見てみよう

真核細胞と原核細胞について、ざっくりと違いはわかったかな。
それでは、それぞれの細かい構造を見ていくよ。

真核細胞は、核と細胞質でできているよ。

細胞質とは、細胞のなかの核以外の部分のこと。
細胞膜、細胞小器官、細胞質基質などだね。

細胞内小器官は細胞の中の構造物で、呼吸をするミトコンドリアや、植物には光合成をする葉緑体がある。

細胞質基質は細胞の中を埋めている部分だよ。糖やタンパク質などが溶けているけど、液体というより流動する飲むゼリーや溶けたゼラチンのようなゾルといわれる状態だよ。

いろいろな物質が溶けているので、さまざまな化学反応が行われているんだ。

真核細胞の構造のイラスト

動物細胞と植物細胞の違いは3つ

真核細胞はさらに「動物細胞」と「植物細胞」に分かれるよ。

植物細胞には、動物細胞にあるもののほかに、細胞壁と葉緑体がある。
さらに成熟した細胞では液胞がとても大きくなっている。
液胞は、細胞の約90%を占めるぐらい発達していることがあるよ。

動物細胞と植物細胞の違いのイラスト

細胞壁は、細胞が入っている丈夫な入れ物だよ。
細胞の内部は糖やアミノ酸などを含んだ濃い溶液になっているんだけど、細胞を包む細胞膜は水を通すので、濃い溶液の方へ、細胞の中へと水が流れ込んでくるんだ。これを浸透圧というよ。

浸透圧について説明するイラスト

放っておくと細胞へ水が入りすぎて破裂してしまう。
細胞壁は細胞が水で破裂しないようにしっかりと細胞を包んでいるんだ。
動物細胞は浸透圧を調節する仕組みが発達しているからか、細胞壁をもっていないよ。

葉緑体は、植物の中で緑色に見える細胞に含まれていて、光合成をするんだ。葉緑素という緑色の色素が入っていて、この色素が光合成をするよ。

液胞には糖やタンパク質の他に、植物細胞によっていろいろな物質が入っているよ。いらない物質を貯めたり、植物細胞が作り出した物質が入っていたりするんだ。
赤色の色素を持つ花びらや果実の細胞にはアントシアンという赤色の色素が入っているよ。

真核細胞からなる生物

真核細胞からなる生物を真核生物というよ。

真核生物はとても多いよ。私たちヒトを含む動物、植物、カビなどの仲間の菌類。微生物の中にもアメーバやゾウリムシなど、原生生物という核を持つものがいて、それらは真核生物なんだ。

1つの細胞が1つの個体である単細胞生物もいれば、多数の細胞でできている多細胞生物もいるよ。多細胞生物はすべて真核生物なんだ。

新核生物を説明したイラスト

真核細胞の特徴 まとめ

  • 真核細胞は、核と細胞質でできている
  • 真核細胞はさらに「動物細胞」と「植物細胞」に分かれる
  • 植物細胞には、動物細胞にあるもののほかに、細胞壁と葉緑体がある
  • 真核細胞からなる生物を真核生物という

原核細胞とは?構造を見てみよう

「原始的な仕組み」をもつ原核細胞には核がなく、真核細胞では核内にしまってあるDNAが細胞質基質にあるよ。

細菌のDNAは生物の情報が入っているDNAと、環状になっているプラスミドといわれるものがあるよ。

植物細胞のとは少し違うけど同じように細胞壁があって、浸透圧から細胞を保護しているよ。

原核細胞の構造のイラスト

原核細胞の例(原核細胞からなる生物)

原核細胞からなる生物を原核生物というよ。
大腸菌や乳酸菌、光合成をするシアノバクテリア(ラン藻)などの細菌、極端な環境に生きることが多い古細菌が原核生物なんだ。
すべて単細胞生物だよ。

原核生物について説明するイラスト

原核細胞の特徴 まとめ

  • 原核細胞には核がなく、真核細胞では核内にしまってあるDNAが細胞質基質にある
  • 原核細胞からなる生物を原核生物という

真核細胞と原核細胞の違いや特徴を表で確認しよう

言葉がたくさん出てきたから、表で整理しておこう!

暗記ではなく、理由を考えて覚えていこうね。

原核細胞と真核細胞の構造の共通点と相違点の表の画像

細胞内共生説

ここまで、原核細胞と真核細胞の違いを見てきたけれど、どうやら原核細胞の方が原始的で、単純な仕組みをもっているようだね。
真核細胞は核やミトコンドリア、葉緑体などがあって、より複雑な構造をしているような感じがするかな。

このような、原核細胞と真核細胞の違いはなぜ生まれたんだろう?

生物の進化の歴史を考えてみよう。

生物は長い年月をかけて世代を重ねると、形や性質が変化していくよ。
このことを進化というね。

ある種が進化して生き残るのに有利な性質を獲得すると、生存競争に勝って繫栄する。また他の種が有利な性質を獲得して繫栄する。
この繰り返しなんだ。

なので生物が進化すると、いろいろな性質を獲得していくので、基本的にはより複雑な形に変わっていくんだよ。

生物の共通の祖先は、単純な形の原核生物だったといわれている。生物の情報が蓄えられているDNAと細胞質基質を細胞膜で包んだ形だよ。

そこから進化して、酸素を使って呼吸を行う生物があらわれた。酸素を使った呼吸は大きなエネルギーを生み出すから、しない生物より生き延びるのに有利になるね。

他にも、太陽光を使って栄養を作る、葉緑素をもって光合成をおこなう生物が出てきた。光が当たるとごはんが食べられる生物だ。これも生き延びるのに有利だね。

では、何も持たない生物は、どうやったら生き延びられるのだろう?

実は、細胞の中に、酸素を使って呼吸をする生物や、光合成をする生物を取り込んで、一緒に生きていく「共生」を行う生物があらわれたと考えられている。

そうすれば、呼吸によって得られるエネルギーを使ったり、光合成によって得られる栄養をもらうことができるね。

他の細胞を取り込んだからか、どちらが先かわからないけど、細胞の中にあるDNAを自分の膜で包んで、核という構造ができたといわれているよ。家に他の人が住むようになったから、大事なDNAをちゃんと核の中にしまっておくようになった、そんな感じかな?

こうして、呼吸をする細胞は細胞小器官のミトコンドリアに、葉緑素を持つ細胞は葉緑体になっていったと考えられている。この考え方を「細胞内共生説」というんだ。
動物細胞は、ミトコンドリアと共生した細胞の子孫で、植物細胞は、ミトコンドリアの後に葉緑体と共生した生物の子孫ではないかといわれているよ。

ミトコンドリアと葉緑体のイラスト

ヒトの細胞にもあるミトコンドリアや、植物細胞の中の葉緑体が、もともと別の生き物だったなんてびっくりだね。でも、いろいろな証拠が見つかっている説なんだ。

まず、細胞内の構造物の中で、核とミトコンドリアと葉緑体が二重の膜を持っているということ。細胞の中に入るときに、包まれた細胞膜で二重になったのではといわれているよ。

ミトコンドリアと葉緑体の中には、それぞれ独自のDNAがあること。これは、もともと持っていたDNAだといわれているよ。

ミトコンドリアと葉緑体は、核の制御とは別に、独自の増え方をすること。細胞の中である程度、自律しているんだね。

細胞内共生説の証拠について説明するイラスト

生物が生き延びていく中で、いろいろな進化をした結果、単純な構造の原核細胞から複雑な構造を持つ真核細胞が生まれたと考えられているんだね。

進化して生き延びてきた真核生物もすごいし、現在いる原核生物は、形を大きく変えずに生き延びてきたんだ。それもすごいね。

これらの説も、今後いろいろな証拠が見つかって研究が進んでいくと、変わってくる可能性があるよ。みんなも今聞いた証拠の中に納得いくものや、いかないものがあるんじゃないかな? ぜひ、みんなも自分で可能性を考えてみてね!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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