「五大栄養素の種類と働き」をわかりやすく解説(役割の一覧表)
中学家庭科で学習する「五大栄養素」について、五大栄養素である「タンパク質」「無機質(ミネラル)」「ビタミン」「炭水化物」「脂質」それぞれの働きをわかりやすく解説しています。
五大栄養素の種類と役割をまとめた一覧表と、覚え方も紹介しています。
目次
五大栄養素とは
みんなは、「いまは成長期だから、しっかり栄養をとることが大切だよ」とか、「好き嫌いせず、ごはんばバランスよく食べなさい」とか、言われたことはないかな?
私たちは、食べ物や飲み物を体に入れて、その栄養で生きているよね。食べた食品は、体の中(胃や腸)で消化され、その栄養素が体内に吸収されて、そのおかげで、生きていられるんだよ。
要するに…私たちの体が成長したり命を維持するためには、いろんな栄養素が必要ということなんだ。そのすべての栄養素を、多すぎず少なすぎず、ちょうどよくとれる食事が理想なんだよ。
この「必要な栄養素」のなかでも、とっても重要なのが、「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」。この3つは「三大栄養素」と呼ばれているよ。
この、3大栄養素に、私たちが生きていくのに欠かすことができない、栄養素を2つ加えて、「五大栄養素」というんだ。
小学校でも習ったよね?そう。「ビタミン」と「無機質(ミネラル)」だよ。
それでは早速、それぞれの栄養素の役割や働きを説明していくよ。
「もっと筋肉つけたいなぁ」とか「最近口内炎ができるなぁ」「肌があれてるなぁ」とか、もっと年を重ねたら「ダイエットしたいなぁ」と思うこともあるかもしれないね。その時に、絶対に役に立つ内容だから、いまのうちにしっかり学んでおこう。
タンパク質とは(タンパク質の働き)
たんぱく質とは、主に筋肉や臓器、血液をつくるもとになるんだ。
私たちの体の、約20%は、たんぱく質でできているんだ。
たんぱく質は、体内で分解されてエネルギー源になるよ。たんぱく質1gあたり、約4kcalのエネルギーが発生するんだ。「カロリー」って、聞いたことあるかな?正確に言うと、kcal(キロカロリー)は、エネルギーの単位で、1kcalは水1kgの温度を、1度高めることができるエネルギー量のこと。簡単に言うと、私たちが生きていくのに必要なエネルギーのこと。年齢や活動量によって、必要なエネルギーの目安も決まっているんだよ。
また、動物性たんぱく質には、体内で作ることができない「必須アミノ酸」がバランスよく含まれているよ。
無機質とは(無機質の働き)
食品に含まれる量は少ないが、体を作り、体の調子を整える働きがあるよ。
具体的に言うと、みんなの歯や骨をつくるもとになる「カルシウム」、血液をつくるもとになる「鉄分」などがあるね。ほかにも、エネルギーがスムーズに作られるように働いてくれるんだ。
ビタミンとは(ビタミンの働き)
体の調子を整える働きがあるよ。
「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」にわけられるんだ。
「脂溶性ビタミン」は、体内に蓄えられるビタミンで、ビタミンA、ビタミンDなどがあるよ。
ビタミンAは、目の働きを助け、皮膚やのど、粘膜を健康に保つんだ。
ビタミンDは、骨や歯を丈夫にする役割だよ。
「水溶性ビタミン」は、多くとりすぎても、必要量以外は、体の外へ排出されるんだ。ビタミンB、ビタミンCなどがあるよ。
ビタミンBは、炭水化物や脂質が体内でエネルギーに変わるときに必要なんだ。
ビタミンCは、血管を丈夫にしたり、傷の回復を早めてくれるよ。
炭水化物とは(炭水化物の働き)
炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」があるよ。
「糖質」は、体の中で分解されて「ブドウ糖」にかわり、吸収されるんだ。素早くエネルギーに変換されるのが特徴だね。スポーツ選手が、エネルギー補給のために、試合の合間に糖質がおおいおにぎりやバナナを食べていたりするよ。ちなみに、糖質1gあたり、約4kcalのエネルギーが発生するんだ。
その糖質1gってどれぐらいなの?そんなこと考えたこともないし、ピンと来ない…と、不安にならなくて大丈夫。みんな、今度スーパーやコンビニで、パンでもお菓子でも、袋の裏の表示をみてみてごらん?炭水化物(糖質)が、何グラム含まれているか、きちんと書いてあるんだ。まずはこうして、興味をもつことが大切だよ。食材ごとにも調べることができるので、興味がある人は、更に詳しく調べてみてね。
「食物繊維」は、消化はされないけど、腸の調子を良くして、便通を整えてくれる役割で、健康を保つために必要だよ。
「ダイエットのために、炭水化物を食べない!」ということをいう人がいるけど、これは、「炭水化物をとりすぎると、余った炭水化物が脂肪のもとになる」という内容が、炭水化物=ふとるというイメージに繋がってしまったものなんだ。炭水化物は、体や脳を動かすエネルギーがあるので、不足すると、疲れやすかったり集中力が低下したりしてしまうんだ。
脂質とは(脂質の働き)
食品に含まれる脂質のほとんどは、脂肪で、エネルギー源になるんだ。
脂質って、悪者のイメージがありがちなんだけど、脂質は私たちの体の、細胞膜などを構成していたり、体温を保ってくれたり、これも欠かせない大切な栄養素なんだ。たんぱく質と糖質は、1gあたり何kcalのエネルギーを発生するんだったかな?そう。4kcalだったよね。この脂質は、1gあたり、9kcalのエネルギーを発生するんだ。
いちばん、エネルギーの発生量が多いのが、脂質だね。
水の働き
水は、栄養素ではないけど、消化・吸収された栄養素を運んだり、体内でできた老廃物の運搬・排出を担うよ。体温調節の役目もあるし、生命維持のために不可欠なんだ。
私たちのからだの、60%は水分ともいわれているよ。飲み物や食べ物から水分を摂取し、汗や尿で体外に出て、1日およそ2.5リットルの水が体を出入りしているんだ。
暑い日や、激しい運動をしてたくさん汗をかいたときはもちろん、日ごろから十分な水分をとる習慣をつけておこう。
五大栄養素の働き一覧表
栄養素の種類 | 主な役割 | 必要な量 | 主な摂取源 |
---|---|---|---|
たんぱく質 | 体の組織や細胞の生成・修復、酵素やホルモンの構成成分 | 成人男性:約60g 成人女性:約50g(一日) | 肉、魚、卵、豆製品 |
脂質 | エネルギー源、細胞膜の構成、ホルモンの生成 | 成人一日約60g (全エネルギーの25-30%) | 肉、魚、ナッツ、オイル |
炭水化物 | 主要なエネルギー源 | 成人一日約260g (全エネルギーの50-60%) | 米、パン、パスタ、野菜、果物 |
ビタミン | 各種体内反応の補酵素、骨や皮膚の健康 | 各ビタミンごとに異なる | 野菜、果物、魚、乳製品 |
ミネラル | 骨や歯の形成、神経伝達、筋肉の収縮 | 各ミネラルごとに異なる | 野菜、果物、肉、魚、乳製品 |
五大栄養素の働きの覚え方
今日は、内容が盛りだくさんだったね。
混乱しないように、もう一度。
3大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)は、体を作る材料になり、エネルギーの源になる大切な栄養素だったね。
3大栄養素:たんぱく質・炭水化物・脂質
共通する役割:エネルギー源、からだをつくる
- たんぱく質…エネルギー源、からだをつくる(筋肉・臓器・血液)
- 炭水化物…エネルギー源、からだをつくる
- 脂質…エネルギー源、からだをつくる(細胞膜)
3大栄養素の覚え方は、「手軽で早くて元気が出るかつ丼!」のイメージ。
豚肉は「タンパク質」、とんかつを揚げるための油は「脂質」、ごはんは「炭水化物」。
かつ丼はまさに「3大栄養素」メニュー。
パッとたべて、すぐにエネルギーになってくれるイメージで覚えてね。
さて、3大栄養素をとっていれば、体を作ることも、体を動かすエネルギーも足りる!それだけとればいい!!と思いそうなところだけど、
5大栄養素は、3大栄養素に、体の機能を調節する2つの栄養素(ビタミン、無機質)を加えたもの。この2つの栄養素は、3大栄養素の代謝を助けてくれるんだ。ようするに、3大栄養素を摂っても、このビタミン・無機質がないと、せっかく摂った3大栄養素が、活躍できないってことなんだよ。
5大栄養素:3大栄養素+ビタミン・ミネラル
共通する役割:体の調子を整える
- ビタミン…体の調子を整える(ビタミンA=目や皮膚、ビタミンD=骨や歯など)
- ミネラル…体の調子を整える(カルシウム=骨、鉄=血液など)
5大栄養素の覚え方は、「ゆったり贅沢に食べたいとんかつ定食!」のイメージ。
かつ丼は「早くてエネルギーになる」というイメージだったけれど、「とんかつ定食」はサラダなんかもついて、ちょっと贅沢にゆっくり食べるようなイメージと思ってみて。
「美味なとんかつ定食」の「美味(ビタミン・ミネラル)」の語呂合わせで「ビタミン」と「ミネラル」を覚えよう!
教科書には載っていないけど、せっかくだからほんの少し詳しく話すと、
さらに、「7大栄養素」と呼ばれるものがあるんだ。「5大栄養素」に、これらを体内で運んだり排出する役割がある「水分」と「食物繊維」が加わるよ。正確には、水分は「栄養素」ではないから、その点は間違って覚えないように注意してね。
ここで学んだことを、少しだけ意識しながら、今日のごはんや食べたものを振り返ってくれると嬉しいな。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。