花のつくり(種子植物の特徴)を解説-中学理科「植物の世界」

中学1年理科「植物の世界」で学習する、被子植物の特徴である「花の作り」をわかりやすく解説しています。花のつくりと実のでき方、花のつくりの一覧を確認できます。

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「花のつくり(種子植物の特徴)」解説プリント

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目次

  1. 花のつくりをイラストで見てみよう
  2. 種子植物と受粉
  3. いろいろな花のつくり
  4. 種子植物の花のつくり一覧

花のつくりをイラストで見てみよう

「花のつくり」とは、「花には、どんな部分があって、どんなふうに組み合わさっていて、それぞれがどんなはたらききをもっているのか」ということ。

花のつくり(花の形)には、ちゃんとひとつひとつ意味があるんだ。
この単元では、それを勉強しようということだね。

それでは、じっさいに花の形はどうなっているのかな?
例として、「アブラナ」の花を分解して、「花のつくり」を見てみるよ。

アブラナの花のつくりのイラスト

がく

まず最初に目に入るのが「がく」だね。

これは花の外側をおおっていて、花がまだつぼみの時に中を守る大切な役割をしているよ。鳥の卵の「から」みたいだね。

色はふつうは緑色で、葉っぱのような形をしていることが多いんだ。

花弁

次に見えてくるのが花弁かべん。つまり、「花びら」のことだね。

これが花のいちばん目立つ部分で、色とりどりできれいな形をしているよね。

どうして色とりどりできれいな形をしているかというと、花弁は、虫たちを引きよせて受粉を手伝ってもらうための看板のようなものだからだよ。

虫たちに「ここに花があるよ!!おいで!!」と気がついてもらうために、きれいな色をしていたり、目立つような形をしていたりするんだね。

おしべ

中心部に近づくと、「おしべ」が見えてくるね。

おしべは花粉を作る工場のようなもので、花粉が作られる先端の部分が「やく」と呼ばれるよ。

ちなみに「しべ」とは、花の「子孫をつくるための器官」のことなんだ。
その「しべ」の「雄(す)」のほうなので、「しべ」と呼ぶよ。

めしべ

最後に残った部分が「めしべ」だよ。

めしべは、虫たちが おしべから運んできた花粉(精子)を受け入れて、新しい種子しゅし(タネ)を作る部屋のようなもの。

人間でいえば、赤ちゃんを育てる「子宮」をもった「お母さん」みたいだね。

その部屋の入り口が、めしべのてっぺんにある柱頭ちゅうとう」で、めしべ中には「子房しぼう」があり、その中にある「胚珠はいしゅ」から新しい種子ができるんだ。

たろうたろう

花は、外側から「がく」・「花弁」・「おしべ」・「めしべ」の順番になってできているんだね。

なぜなら、「がく」は花弁や、おしべ・めしべなど、大切な部分を守らなくてはいけないから一番外側にあるんだね。
花弁は、その美しさや匂いで、鳥や虫たちを集めなくてはいけないので、花の外側のほうに目立つようにあるんだね。
そして、まずはおしべの花粉が虫たちの体にくっつくように、おしべがあって、そのさらに中心にめしべがあることで、虫たちの体にくっついた花粉がめしべの柱頭につくようになるということだね。

ちゃんと、花のつくり(それぞれの順番)には意味があるんだね。

ちなみに、虫とかではなく風によって花粉を運んでもらう「イネ」などの植物には、きれいな花びらがなかったりするよ。なぜなら、虫たちを呼び寄せる必要がないから。そのかわり、めしべの柱頭がブラシ状になっていて、風で飛んできた花粉をうまくキャッチできるようになっていたりするんだ。

くまごろうくまごろう

それでは、「めしべ」と「おしべ」のつくりをもう少しくわしく見てみよう。

めしべのつくり

めしべの根もとのふくらんだ部分の中はどうなっているのかな?
めしべのパーツを、ひとつひとつくわしく紹介するよ。
※イラストは、子房の中が見えるように描いてあるよ。

アブラナのめしべのつくりのイラスト

柱頭ちゅうとう

柱頭ちゅうとうは、めしべの一番上にある部分で、ちょっとふっくらとした形をしているよ。

なぜなら、柱頭は風や虫によってはこばれてきた花粉を受け取る役割をもっているから。

ふっくらした形をしていないと、虫がうまくとまる・・・ことができないし、風に運ばれてきた花粉をキャッチすることも難しくなるよね。

確実に花粉を受け取ることができるように、ふっくらとした形をしているんだね。

子房しぼう

子房しぼうは、めしべの根もとにあるふくらんだ部分で、子房の中には、種子しゅし(タネ)になる胚珠が入っているよ。

柱頭に花粉がつくと、「受粉じゅふん」が起こるんだ。

受粉が起こると、子房は成長して果実になるよ。
果実になったものが、みんながスーパーなどで見かける「フルーツ」なんだね。

どうして果実になるのかというと、おいしい果実になることで、動物たちが食べてくれて、消化されたあとに「タネ」だけが残って出てくるんだ。
そうすると、もともと咲いていた場所から離れたところに「タネ」を運んでもらえるというわけ。
そうすれば、どんどんたくさんの場所に子孫を増やしていけるよね。

種子しゅし胚珠はいしゅ

種子、または胚珠は、花の新しい命のもと。「タネ」と言ったらピンとくるよね。
受粉することによって、胚珠が種子になるよ。

子房の中には、この種子(胚珠)がぎっしりとまっているよ。

おしべのつくり

おしべの先端のふくらんだ部分はどうなっているのかな?
今度は、おしべのパーツについてくわしく紹介するよ。

アブラナのおしべのつくりのイラスト

やく

やく(葯)は、おしべの先端のふくらんだ部分
ここに花粉が入っているんだよ。

花粉かふん

花粉は、植物の種子を作るための精子が詰まった小さな粒のこと。

これが風や昆虫に乗って、ほかの花のめしべに運ばれて、めしべの柱頭につくと「受粉」が起こるよ。

種子植物と受粉

種子植物とは

種子植物というのは、「種子(タネ)を作る植物」のこと
植物の中には、タネがなくても増えるものもあるんだ。
だから、「種子(タネ)で増える植物」を区別するために、「種子植物」と呼ぶんだね。

ちなみに、木や草花のほとんどが種子植物だよ。

受粉とは

花が種子を作るには、「受粉」が必要なんだ。

受粉とは、おしべの花粉が風や昆虫などで運ばれて、めしべの柱頭にくっつくこと

受粉が起こると、めしべの子房の中にある胚珠が成長して種子になるよ。
そして、子房も成長して、果実(フルーツ)になるんだね。

まとめ
赤いキーワードは必ず覚えよう!

  • は、外側から「がく」・「花弁」・「おしべ」・「めしべ」の順番になってできている
  • 柱頭は、めしべの一番上の部分で、花粉を受け取る場所
  • 子房は、めしべのもとのふくらんだ部分で、中に種子になる胚珠が入っている
  • おしべの先端の「やく」には花粉が入っている
  • めしべの柱頭に花粉がつくことを受粉という
  • 受粉が起こると、胚珠が成長して種子になる
  • 受粉が起こると、子房が成長して果実になる
  • 種子をつくる植物のことを「種子植物」という

いろいろな花のつくり

花にはいろいろな種類があるけれど、花のつくりは同じで、外側から中心に向かって「がく」・「花弁」・「おしべ」・「めしべ」の順番になっているね。

でも、つくりは同じだけれど、花は種類によって「花のかたち」や「花やがく・おしべの数」などは違うんだ。

動物で考えても、基本的な体のつくりは同じだけれど、体のかたちとか、細かいところが違うよね。
それぞれが生き残ったり、子孫を増やすために便利なかたちになっているよね。

花もおんなじなんだ。咲いている場所や、花粉を運んでもらう方法などに合わせて、それぞれに便利なかたちになっているんだよ。

たとえば、アブラナ・アサガオ・タンポポを例にして、それぞれどんな違いがあるのか見ていこう。

アブラナの花のつくり

アブラナの花は、4枚の花弁と6本のおしべ、1本のめしべからできているよ。

アサガオの花のつくり

アサガオの花は、大きな一枚の花弁がくるりと巻かれてトンネルのような形になっているよ。まるでおおきなアイスクリームコーンのような形だね。

一枚に見える花弁だけれど、実はそれぞれ本当は5枚の花弁で、5枚の花弁が一枚につながっているんだ。

このように、花弁が一枚につながっているものを「合弁花類」というよ。

おしべは5本で、めしべは1本。

タンポポの花のつくり

タンポポの花はちょっと特殊で、一つの花に見える黄色い部分は、実はたくさんの小さな花があつまってできているんだ。

それぞれの小花に、おしべとめしべがちゃんとあるよ。

ひとつの花に見えるタンポポは、じつは200個ぐらいの小さな花のあつまりなんだ。

くまごろうくまごろう

この、花の種類による花弁のちがいやおしべの数などはテストでも出ることが多いよ。
花の種類ごとのちがいを、こまかく覚えておこう。

覚えるポイントとしては、まずは「ふつうの花のつくり」を覚えてしまって、特別なつくりをしている花の種類をそれぞれ覚えるといいよ。

ふつうの花のつくり

めしべのかず

ふつうは、花1つにつき、めしべの数は「1本」だよ。

特別なつくりの花は、「雄花」と「雌花」の2種類の花がある「単性花」。
たとえば、ウリ科(ヘチマ・かぼちゃ・きゅうり・ゴーヤなど)と、トウモロコシが単性花だよ。
単性花のばあい、雄花にはおしべだけがあって、めしべがないんだ。
逆に、雌花にはめしべだけがあって、おしべがないよ。

花弁(花びら)のかず

ふつうは、花弁(花びら)の数は5枚だよ。

特別なつくりの花は、4枚の花びらが十字にならんでいる「アブラナ科」の花(十字花と呼ばれるよ)。

アブラナ科には、アブラナ・キャベツ・大根・ナズナなどがあるよ。

もうひとつ特別なつくりの花は、ユリ。ユリは、花びらが3枚だよ。
しかも、がくが花びらと似ていて、花びらが6枚あるように見える、おもしろい花なんだ。

そして、さらに「風で花粉を運ぶ花(風媒花というよ)」も特別で、なんと花びらは0枚なんだ。

なぜ花びらがないのかというと、風で花粉を運ぶから、虫などをよびよせる必要がないからだよ。

種子植物の風媒花は、イネ科(イネ・ムギ・トウモロコシ・ススキなど)だよ。

がくの数

ふつうは、花びらとがくの数は同じだよ。

特別なのは、キク科(キク・タンポポ・ひまわりなど)で、キク科の花は、ひとつの花のように見えるけど小さな花がたくさん集まってできているんだったよね。

これらの花のがくは、たくさんあるんだ(多数)。タンポポのがくは、なんとあの「綿毛」の部分だよ。

おしべの数

ふつうは、おしべの数は5本だよ。

特別に、バラ科のおしべはたくさん(多数)。
アブラナ科のおしべは6本、
マメ科(エンドウなど)のおしべは10本だよ。

種子植物の花のつくり一覧

主な種子植物の一覧と、それぞれの花のつくりを表にまとめたよ。

花の種類がく花弁のようすおしべのようす胚珠のようす
アブラナ4枚離弁花類
4枚
6本小さな粒が
たくさんある
アサガオ5枚合弁花類・5枚5本1つの子房内にたくさん
タンポポ多数
(綿毛の部分)
多数・総苞花(多数の小花が集まっている)
ひとつの花:合弁花類・5枚
各小花に1本ずつ各小花に1つずつ
エンドウ5枚離弁花類・5枚10本1つの子房に数個
ツツジ5枚合弁花類・5枚10本1つの子房に多数
ヘチマ5枚合弁花類・5枚5本1つの子房に多数
チューリップ3枚
(花のように見える)
離弁花類・3枚6本1つの子房に多数

まとめ

  • 花の種類によって、花びらやがく・おしべの数などは違う。
  • アブラナの花びら・がくは4枚。
  • タンポポやヒマワリは、ちいさな花があつまって一つの花のようになっている。

ここまで学習できたら、花のつくり(種子植物の特徴)のテスト対策ページにもチャレンジしよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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