二酸化炭素と酸素の性質(気体の性質)気体を調べる方法まとめ
中学1年生の理科で学習する「気体の性質」について、二酸化炭素と酸素を中心に、気体の性質の調べ方をわかりやすく説明するよ。
ある気体を発生させる方法、気体を集める方法(水上置換法)、気体の性質を調べる主な6つの方法と、その結果からどのような気体と判断できるのかなど、くわしく紹介しているよ。
目次
気体ってどうやって見分ければいいの?
気体には酸素とか二酸化炭素、水素や塩素などいろいろあるけれど、それぞれ「見ただけ」ではなんの気体かって分からないよね。
でも、気体にはそれぞれ「その気体がもつ性質」があるんだ。その性質を調べることで、ある程度何という気体か、当てることができるよ。
たとえば、酸素なら「火が燃えるのを助ける」性質を持っている。
ということは、「火が燃えやすくなったか、それとも消えてしまったか」で、その気体が酸素なのかどうか区別がつけられるよね。
二酸化炭素であれば、「石灰水を白く濁らせる」性質を持っているので、石灰水を混ぜてみれば、その気体が二酸化炭素かどうか判断することができる。
このように、それぞれの気体がもつ性質に着目して、その性質があるかどうかを実験で調べることで気体を見分けることができるんだ。
今回は学校の授業で行われる「二酸化炭素」と「酸素」を見分ける実験の説明を中心に、いろいろな気体の性質の調べ方を説明するよ。
気体の性質を調べる主な6つの方法とは
最初に、気体の性質を調べる基本的な6つの方法を紹介していくね!
1 発生した気体のにおいを嗅ぐ
気体のにおいを嗅いでみる方法。これは一番簡単な方法の一つだよ。
アンモニアは独特のツーンとした刺激的なにおいがするので、これを嗅いで識別することができるね。
ほかにも、硫化水素という、腐った卵のようなにおい(腐乱臭というよ)がする気体もあるよ。
「気体のにおいを嗅ぐ」見分け方法は注意が必要なんだけれど、気体のなかには、刺激が強すぎるものもあるんだ。
なので、気体のにおいをかぐときは、試験管の口あたりを手であおぐようにして、かぐようにしよう。
なぜなら刺激が強い気体を直接、鼻でかいでしまうと、鼻の粘膜を溶かしてしまうことだってあるんだよ。
手であおいでかぐことで、刺激の強い気体が外の空気と少し混ざって、刺激を和らげる効果があるんだ。
2 火のついた線香を試験管の中に入れる
火のついた線香を試験管の気体の中に入れて、その反応を見る方法だよ。
酸素が多い場合、ものが燃えるのを助けるはたらき(助燃性というよ)があるので、線香の炎が明るくなるね。
逆に酸素がなかったり、少なくなってしまうと、線香の火は消えてしまうよ。
線香の炎が明るくなったか、それとも消えてしまうかで、気体が酸素かそうでないか判断することができるね。
3 火のついたマッチを近づける
火のついたマッチを気体の近く(試験管の口など)に持っていって、マッチの炎の様子の変化を確認する方法。
燃えやすい性質を持つ水素の場合、火のついたマッチを試験管の口に近づけると、「ポッ」と小さな爆発音と共に炎が上がるよ。
爆発音があったかどうかで、気体が水素かそうでないかを判断することができるね。
余裕があったら読もう!
なぜ水素はマッチ、酸素は火のついたマッチなのか?
火のついたマッチを近づけると、小さな爆発を起こす水素。線香を入れた場合はどうなるのかというと、爆発音もしないし、線香の火は消えてしまうんだ。
なぜなら、線香の火の火力では、水素が発火するには力が足りないんだ。そして、試験管の中は水素なので、酸素がない(ほとんどない)状態。だから線香の火は消えてしまうんだよ。
だから、水素かどうかを調べるのには、線香の火では判断することができないね。
逆に、酸素が入っている試験管の口にマッチを近づけても、マッチの火はもともと大きくて、常にユラユラとゆらいでいる状態なので、酸素の力で火が大きくなったかどうか見分けづらいんだ。
そもそも、ただでさえ火が大きいマッチの炎がもっと燃え上がるようだったら、実験するには危ないよね。
線香の火ぐらい小さな炎(ほとんど燃えていないように見えるくらいだよね)であれば、酸素の力で燃え上がっている様子がよくわかるんだ。
だから、酸素かどうかを調べるのには、火のついたマッチではなく、線香が使われるんだね。
気体自体が燃える水素(可燃性)、ものが燃えるのを助ける酸素(助燃性の違いで、調べる方法も変わってくるんだね。
4 石灰水を入れて振って、色が変わるか観察する
気体の入った容器(試験管)に石灰水を入れてよく振って、石灰水の色の変化を見る方法だよ。
二酸化炭素が含まれていると、石灰水は白濁するよ。
石灰水が白く濁るかどうかで、その気体が二酸化炭素かどうか判断することができるね。
5 水で濡らしたリトマス紙を気体にふれさせて色の変化のようすを観察する
水に溶けたときに、酸性やアルカリ性の性質を示す気体は、リトマス紙の色を変えるよ。
調べる方法は2通りあって、
- 気体を水に溶かして、リトマス紙につける方法
- リトマス紙自体を水で濡らして気体に触れさせてみる方法
があるよ。
水に溶けると、気体はそれぞれ次の性質を示すようになるよ。(中学で学習する気体の場合)
- 二酸化炭素と塩素→酸性(青いリトマス紙を赤く変色させる)
- 酸素と水素→中性(リトマス紙の色に変化はない)
- アンモニア→アルカリ性(赤いリトマス紙を青く変色させる)
リトマス紙の色の変化を見れば、気体の種類をある程度判断することができるね。
ちなみに、気体の状態のままでは、酸性・中性・アルカリ性の性質を示すことはないので注意しようね。
6 BTB溶液を加えて色の変化を観察する
BTB溶液は、酸やアルカリの性質を持つ気体が溶けると色が変わる溶液だよ。
BTB溶液は、もともとは中性で緑色なんだ。
酸性になると、黄色くなって、アルカリ性になると青くなるよ。
なので、気体と混ぜたときに、BTB溶液の色が緑色からどう変化するかを見ることで、その気体が酸性・中性・アルカリ性のどの性質を示すのかが分かるね。
二酸化炭素を加えると、BTB溶液は中性の緑色から黄色に変わるよ。
BTB溶液の場合、その気体の多さ・少なさによって、色の変化が大きい・小さいので、「その気体が何か」だけではなく、「どのくらいその気体があるか」も判断できるところが便利だね。
二酸化炭素と酸素の性質を調べる実験
それでは、学校の授業でおこなわれる「二酸化炭素と酸素の性質を調べる実験」について、「性質の違いをつかって、気体の種類を見分ける方法」をポイントに解説するよ。
「二酸化炭素と酸素の性質を調べる実験」をするために、まずは二酸化炭素と酸素を作りだすんだ。
二酸化炭素と酸素のくわしい作り方を説明するよ。この「ある気体を作り出す方法」は、これから先も必要になる知識なので、できるだけ覚えながら学習していこうね。
二酸化炭素を発生させる方法
二酸化炭素は、石灰石に塩酸を加えると発生させることができるよ。
石灰石1gにうすい塩酸5㎤を加えると、実験にちょうどいい適切な量の二酸化炭素ができるんだ。
二酸化炭素を発生させるには、「水上置換法(すいじょうちかんほう)」という方法をつかうよ。
気体を集める方法は、その気体の持っている性質によってピッタリな方法がそれぞれあるんだ
たとえば、今回の「水上置換法」は、「水にとけにくい性質をもつ気体をあつめる」のにピッタリな方法。
「水上置換法」では、上のような装置を作るよ。
右の水そうの中の試験管には、あらかじめ水がいっぱいに入れてあるよ。
そして左の立ててある試験管で、気体を発生させて、ゴム管などを使って水そうの中の試験管に気体を送って、ためていくんだ。
水でいっぱいだった試験管の中に、気体がどんどんたまっていくということは、もともとあった水と置き換わって、気体が水の上のほうに集まっていくので、「水上置換法」と呼ばれるんだよ。
水上置換法のよいところは、「他の空気と混ざることなく、その気体だけを集めることができること。
そして、集まった気体は、水の中を通って直接試験管にたまっていくよね。
ということは、毒性をもっている気体だったり、水素のように火が付きやすくてあぶない気体などでも安全に集めることができるんだ。
「水にとけにくい気体をあつめるときによく使われる方法」というのも、水の中を通らせて、試験管に集めるんだから、納得だね。
だって、もし水に溶けやすい気体だったら、水の中を通らせているうちに気体がどんどん溶けてしまうからね。
※水に多少溶けやすい気体でも、毒性や引火性のことを考えてあえて水上置換法で集める場合もあるよ。
酸素を発生させる方法
酸素は、二酸化マンガンにうすい過酸化水素水(オキシドール)を加えると、発生させることができるよ。
試験管に二酸化マンガンを約0.5gいれて、オキシドールを10㎤加えると、実験にちょうどよい適切な量の酸素が発生するよ。
酸素も、水にとけにくい性質をもっているので、二酸化炭素を集めたときとおなじく水上置換法で集めることができるよ。
こうして水上置換法を使って集めた二酸化炭素と酸素を使って、最初に説明した「気体の性質を調べる6つの方法」で実験を行うよ。
二酸化炭素の性質を調べた結果
集めた二酸化炭素を使って、気体の性質を調べたときの結果をみてみよう。
1 においを嗅ぐと
二酸化炭素は無色無臭のガスなので、特定のにおいはしないんだ。
だから、「においなし、色なし」が正解。もし二酸化炭素ににおいがあったら、呼吸を一生し続けるぼくたち人間は、いつもくさくてたまらなくて大変だよね。
2 火のついた線香を入れると
二酸化炭素には、燃えるのを助けるはたらきはないよ。だから、火のついた線香を二酸化炭素の中に入れると、線香の火は消えてしまうね。
3 火のついたマッチを近づけると
二酸化炭素には、水素のように燃える性質はないので、火のついたマッチを近づけても、とくに変化はみられないよ。
4 石灰水を入れて振ると
二酸化炭素を集めた試験管の中に石灰水に入れてよく振ると、石灰水は白く濁ってくるよ。これは、二酸化炭素が石灰水と反応して、白い固体の物質ができるからだよ。
5 水で濡らしたリトマス紙をふれさせると
水で濡らした青色リトマス紙の色は、試験管の中の二酸化炭素に触れると赤色になって酸性を示したね。
赤色リトマス紙の場合は変化がなしだね。
6 BTB溶液を加えると
二酸化炭素が入った試験管の中にBTB溶液を加えると、BTB溶液の色は中性の緑色から酸性の黄色に変わるよ。
表に整理してみるよ。
実験 | 調べ方 | 結果 |
---|---|---|
1 | においを嗅ぐ | においなし |
2 | 火のついた線香を入れる | 消える |
3 | 火のついたマッチを近づける | 変化なし |
4 | 石灰水を入れて振る | 白く濁る |
5 | 水で濡らしたリトマス紙をふれさせる | 青色リトマス紙が赤色になる酸性) |
6 | BTB溶液を加える | 黄色になる(酸性) |
その他の二酸化炭素の性質として、
- 二酸化炭素は空気より少し重いので、下に溜まりやすい
- 植物が光合成という働きで、二酸化炭素と水を使って「ごはん」を作っている
- 現在地球を取り巻いている二酸化炭素が多すぎて、地球温暖化・灼熱化(しゃくねつか)が起きていること
も知っておくといいね。
酸素の性質を調べた結果
集めた酸素を使って、気体の性質を調べると次のようになるよ。
1 においを嗅ぐと
酸素は私たちが毎日息をしている空気の中にたくさん含まれている気体だね。酸素自体は無色無臭なので、特に何も匂わないんだ。「においなし、色なし」が正解。
2 火のついた線香を入れると
酸素は燃焼を助ける性質があるんだ。だから、火のついた線香を酸素の中に入れると、線香の炎が明るくなったり、燃える速さが速くなるよ。
3 火のついたマッチを近づけると
酸素は物が燃えるのをたすける働きがあるけれど、マッチの火はもとの火力がつよくてユラユラしているので、とくに変化はみられないよ。
4 石灰水を入れて振ると
酸素と石灰水との間には特に反応は起こらないので、石灰水は変化しないよ。透明なままだね。
5 水で濡らしたリトマス紙をふれさせると
酸素は水に溶けて酸性もアルカリ性も示さない(中性)なので、リトマス紙の色に変化は見られないよ。
6 BTB溶液を加えると
BTB溶液も、酸性やアルカリ性の変化によって色が変わるものだけど、酸素は中性で特に反応しないから、色は変わらないんだ。
おなじく表に整理してみよう。
実験 | 調べ方 | 結果 |
---|---|---|
1 | においを嗅ぐ | においなし |
2 | 火のついた線香を入れる | 明るく燃える |
3 | 火のついたマッチを近づける | 変化なし |
4 | 石灰水を入れて振る | 変化なし |
5 | 水で濡らしたリトマス紙をふれさせる | 変化なし |
6 | BTB溶液を加える | 変化なし |
その他の酸素のもつ性質として、
- 人や動物は酸素を吸って呼吸しているので、酸素がないと私たちは生きられないこと
- 空気の約1/5が酸素であること
- 鉄と反応してさびを作ること
等を知っておくといいね。
気体の性質の実験 まとめ
- 気体にはそれぞれ「その気体がもつ性質」があるんだ。その性質を調べることで、ある程度何という気体か、当てることができる
- 気体の性質を調べる基本的な6つの方法
・発生した気体のにおいを嗅ぐ
・火のついた線香を試験管の中に入れる
・火のついたマッチを近づける
・石灰水を入れて振って、色が変わるか観察する
・水で濡らしたリトマス紙を気体にふれさせて色の変化のようすを観察する
・BTB溶液を加えて色の変化を観察する - 「水上置換法」は、「水にとけにくい性質をもつ気体をあつめる」のにピッタリな方法
- 二酸化炭素は、石灰石に塩酸を加えると発生させることができる
- 酸素は、二酸化マンガンにうすい過酸化水素水(オキシドール)を加えると、発生させることができる
- 二酸化炭素・酸素とも水にとけにくい性質をもっているので、二酸化炭素を集めたときとおなじく水上置換法で集めることができる
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。