有機物と無機物とは?一覧と違いを解説「白い粉末の見分け方」
中学校1年生の理科で学習する「白い粉末の見分け方の実験」のポイントから、「有機物」とは何か、「無機物」とは何かをわかりやすく解説するよ。
見た目だけでは区別できなものでも、水に溶かしたり、熱したりすると、そのときの様子の違いで、それぞれ何の物質かを見分けることができるんだ。
この単元では、その「見分けるためにはどんな実験をすると良いのか」、似たような白い粉末を見分けるための実験をしてみると、それぞれどんな反応をするのかを学習するよ。
また、その反応の違いはどうしてなのか?ということから、物質には「有機物」と「無機物」があって、それぞれどういう特徴を持っているのかということを学ぶことになるよ。
有機物と無機物の違いを簡単に解説。有機物と無機物の例の一覧を紹介するよ。
目次
白い粉末の区別の実験
見ただけでは見分けにくい、白い粉末状の物質
- 「白砂糖」
- 「デンプン」
- 「食塩」
- 「グラユー糖」
を見分けるためにはどうしたらいいのかな?
これらは、普段からよく使っているし、すべて身の回りにある食品とか調味料だから、本当だったら味をみればわかるよね。
でも、理科室にあるものは、たとえその粉がよく知られている調味料で、安全なことがわかっていても、絶対になめたりしてはいけないよ。
他の有害な粉が空気中を舞っていたり、机やビーカーについていることがあるからね。
一緒に口に入ったら大変なことになっちゃうね。
理科の授業では、これらの白い粉を見分けるためには、
- 「ようすや手ざわりを調べる」
- 「水に入れたときのようすを調べる」
- 「熱したときのようすを調べる」
の3種類の実験観察をしていくよ。
それぞれの実験の様子や結果をくわしく解説するまえに、全体の流れをざっくり説明するね。
まず、「見たときの粒のようす」や「手ざわり」について。
「白砂糖」と「グラニュー糖」では、グラニュー糖の方が白砂糖よりも粒が大きいよ。
デンプンは触った感じがなめらかで、粒がとても小さい。
食塩の粒の大きさは製品によってまちまちだね。
それぞれの粒の様子や、手ざわりの違いで、見分けられそうだね。
次に水に入れたときのようす。
白砂糖とグラニュー糖は水によく溶けるね。
デンプンは水に溶けにくく、水に入れてよく混ぜても、溶け残りの沈殿になるよ。
食塩もある程度は水に溶けるね。砂糖や食塩は、溶けると透明な液体になるよ。
水への溶け方も、それぞれ違うんだね。
次に熱したときのようす。
白砂糖とグラニュー糖は熱するとキャラメルのように茶色くなり、最後にはこげて黒い炭になっていくよ。
デンプンは食塩は800℃の高温になるまで溶けず、粉末のままパチパチはねるね。
今説明したことを表にすると、このようになるよ。
この3つの結果から、物質を見分けることができるようになるね。
それでは、一つずつ実験観察の方法や結果をくわしく解説するよ。
粒のようすや手ざわりを調べよう
はじめに、見たようすや手ざわりを調べた結果を説明するね。
白砂糖の粒の様子と手ざわり
白砂糖を見ると、 粒が比較的小さく、輝きがあるよ。
手ざわりは、 ざらざらとした感じだね。
指と指の間でこすり合わせると、小さな粒が動いているのが感じられるよ。
デンプンの粒の様子と手ざわり
デンプンは、とても小さな粉末で、白砂糖とは違って、輝きは少ないよ。
手でさわると、なめらかで、粉っぽい感じだ。
指の間でこすり合わせると、とてもなめらかで、さらっとした感じだ。
食塩の粒の様子と手ざわり
次に食塩は、 立方体や四角柱の粒の形をしているものが多く、白砂糖よりも大きい。
ただ手でさわるとざらざらしている所は、白砂糖とに似ているよ。
グラニュー糖の粒の様子と手ざわり
最後にグラニュー糖は、白砂糖よりも粒がかなり大きく、丸みを帯びているね。
ルーペを使うと、この2つの違いがよくわかるよ。
そしてグラニュー糖の粒はかなり大きいので、手でさわるとはっきりとしたざらつきが感じられ、グラニュー糖だと決めることができるよ。
このように手でふれたり、目で見て確かめることで、4つの粉が何であるか、見当がつくんだ。
まとめるよ。
白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖の様子や手ざわり まとめ
物質 | ようすや手ざわり |
---|---|
白砂糖 | グラニュー糖よりも少し粒が小さい |
デンプン | 非常に粒が細かく、さらさらしている |
食塩 | さらさらしているが、粒は角ばっている |
グラニュー糖 | 白砂糖よりも粒が大きく、さらさらしている |
水に入れたときのようすを調べよう
次にそれぞれの白い粉を水に入れる実験について詳しく説明するね。
水の入った試験管に、白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖それぞれをスプーン半分くらい入れて、何度も振るよ。
振った結果、白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖それぞれを入れた試験管の中の水の様子はこのようになるよ。
白砂糖の水への溶け方
まず、白砂糖は水によく溶け、完全に透明な液体になる。
とけるスピードは、温かい水では速く、冷たい水では遅く溶けるんだ。
デンプンの水への溶け方
デンプンは普通の温度の水にはほとんど溶けず、濁ったままだね。
溶けなかったものが下の方にたまったものを沈殿(ちんでん)と言うね。
食塩の水への溶け方
食塩は、白砂糖と同じで、水によく溶ける、完全に透明な液体になるよ。白砂糖と違うのは、水の温度を上げても少ししか溶ける量が増えないことだ。
グラニュー糖の水への溶け方
グラニュー糖も水に溶けやすく、水に入れると透明な液体になるよ。白砂糖と同じような溶け方だね。溶けないのはデンプンだけだから、すぐに見分けることができるね。
まとめるよ。
白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖を水に入れた様子 まとめ
物質 | 水に入れたときのようす |
---|---|
白砂糖 | とけた |
デンプン | とけなかった |
食塩 | とけた |
グラニュー糖 | とけた |
熱したときのようすを調べよう
次にそれぞれの粉を熱した時の反応について詳しく説明するね。
アルミニウムはくを使って作った入れ物に、白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖をそれぞれ入れて、石綿付き金網の上で加熱するよ
熱した結果が下の写真。
もちろん、左から白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖の順に並んでいるよ。
白砂糖とグラニュー糖を熱した様子
まず白砂糖とグラニュー糖は加熱を続けるとキャラメルのような茶色の液体になるよ。
そしてさらに加熱を続けると黒くこげて炭になっていく。
この時、砂糖がこげた甘い匂いがするね。
デンプンを熱した様子
デンプンは熱すると、白い状態のまま一部が液体になり、最後は全部が黒い炭になっていくよ。
熱していると粉が盛り上がってくるんだけど、これは加熱することで一部に「熱分解」という反応が起きているからなんだ。
食塩を熱した様子
食塩は理科室で加熱したり、家庭で料理したりする温度では溶けないけど、800℃以上の高温になると溶け出すよ。
だからこの実験くらいの温度では、「パチパチと音は立つけど、変化なし」という結果になる。この実験から、どれが食塩であるか見分けることができるね。
まとめるよ。
白砂糖・デンプン・食塩・グラニュー糖を熱した様子 まとめ
物質 | 熱したときのようす |
---|---|
白砂糖 | 液体になった後、こげた |
デンプン | こげた |
食塩 | 変化しなかった |
グラニュー糖 | 液体になった後、こげた |
有機物と無機物とは
今説明した4つの粉を加熱する実験では、白砂糖・デンプン・グラニュー糖が黒くこげて炭になったね。
熱すると黒くこげて炭になった理由は、白砂糖・デンプン・グラニュー糖の中に炭素という物質が入っているからなんだ。
このように、「炭素を含んでいる物質」のことを「有機物」と言うよ。
そして、反対に「炭素を含まない物質」のことをは「無機物」と言うんだ。
今回の「熱したときの様子」の実験結果から、「食塩は無機物」、と言うことができるね。
有機物と無機物の違いと例
有機物と無機物の違いを簡単に説明すると、ズバリ「炭素を含むか含まないか」ということ。
有機物は、主に「炭素という元素を含む物質」だったね。
無機物は、「炭素という元素を含まない物質」。
無機物を作っている材料をたどっていくと、動物や植物ではないものだと言うことができるんだ
身の回りにある有機物の例の一覧を紹介するね。
- 食べ物:リンゴやバナナ、パン(小麦粉、砂糖、バターすべて)、チョコレート、牛乳
- 学用品:ノートの紙、消しゴム
- 身につけるもの:コットンのTシャツ、ウールのセーター、シャツ・ブラウス
- 家の中:木製の家具、シャンプーやボディーソープ
- その他:石油とそれに含まれるナフサが作る製品すべて
次に身の回りにある無機物の具体的な例の一覧を紹介するよ。
- 金属:鉄、コインなど金属すべて
- 学用品:鉛筆の芯、コンパス
- 食べ物:塩、水
- 家の中:窓ガラス、陶器の皿やカップ
- 身につけるもの:金属のピアスや指輪、ガラスの眼鏡レンズ
- 外の景色:石や岩、コンクリート
- 空気の成分:酸素、窒素
まとめると、有機物は生き物や植物に関連するものが多く、無機物はそれ以外の物質と考えることができるよ。
ただ、例外があることも知っておこうね。
白い粉の見分け方 まとめ
白い粉を見分けるための3つの実験
- 様子や手ざわりを観察する
- 水に入れた時の様子を観察する
- 熱した時の様子を観察する
様子や手ざわりの違いから見分ける
- 白砂糖:グラニュー糖より粒小さい、輝きがある
- デンプン:非常に細かくさらさらしている
- 食塩:さらさらしていて、角張っている
- グラニュー糖:白砂糖より粒が大きい、さらさらしている
水に入れた時の様子の違いから見分ける
- でんぷんだけ水に溶けない
熱した時の様子の違いから見分ける
- 白砂糖とグラニュー糖は、液体になったあと焦げる
- デンプンは焦げる
- 食塩は変わらない
有機物と無機物について
- 熱した時に焦げるのは、その物質に炭素が含まれているから
- 炭素が含まれている物質を「有機物」という
- 炭素が含まれていない物質を「無機物」という
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。