金属の性質とは?金属の性質5つをわかりやすく解説「物質の性質」
中学1年生の理科で学習する「物質の性質」について、物質の性質とはなにか、金属の性質5つにはどんな特徴があるのか、金属の性質を調べる実験の内容や実験結果、結果からわかる金属の性質についてわかりやすく解説するよ。
目次
物体と物質とは
最初に物体と物質の違いを説明するね。
部屋の中を見渡して、手元にあるもの、例えば、タブレットや本、椅子や机を見てみよう。今、見えたもの全部が「物体」だよ。
つまり物体とは、目で見ることができて、手で触れることができるもののことを言うんだ。球や箱、リンゴやペットボトルなど、形や大きさがはっきりしているものすべてが物体だね。
では、物質ってなんだろう?「物質」とは、物体を作っている「材料」や「中身」のことを言うよ。
例えば、リンゴという物体は「リンゴの肉」や「皮」の物質からできているね。また、ペットボトルという物体は「プラスチック」という物質からできているよ。
水の入ったグラスで考えると、グラスという物体を作っている物質はガラスやプラスチックで、入っている物質が水という感じだね。
物体と物質の違い
物体は「形や大きさがあるもの」で、物質は「そのものを作っている材料や中身」と整理するといいね。
ところで、どうして「物体と物質の違い」を説明したかというと、これから学習する「金属の性質」は、「物質としての性質」を調べるからなんだ。
たとえば、10円玉は金属のお金だけれど、「10円玉って、どんな特徴なのか?」を調べるんじゃないよね。10円玉を作っている「銅という物質は、どんな特徴なのか?」を調べたいんだ。
「10円玉」は「物体」だね。「10円玉を作っている銅という金属」が「物質」だね。
この違いを分かっているかどうかは、とても重要なんだ。
物質の性質とは
物質の性質とは、「その物質が持っている特徴や特別な反応・変化」のことを言うよ。
たとえば、水は「液体」であり、「冷やすと固まって氷になる」、「いろいろな粉をとかす」というのが代表的な「水の性質」だね。
性質にはいろいろあるけど、特に中学校の学習では、次のAからFのような操作や実験によって調べられる性質が大切だよ。
中学校の学習で大切な物質の性質を調べる方法や実験
A:手ざわりや色、においの違いを調べるとわかるもの
- (例)リンゴは赤や緑など特有の色をしている、という性質
- (例)ゼリーは手で触るとぷるぷるして柔らかい、という性質
- (例)レモンは酸っぱい香りがする、という性質
B:電気をとおすか、磁石につくかを調べるとわかるもの
- (例)釘は電気を通すけれど、ゴムは電気を通さない、という性質
- (例)クリップは磁石につくけれど、1円玉は磁石につかないという性質
豆電球の回路や、磁石を使って実験をしたね。
C:質量や体積をはかるとわかるもの
- 同じ体積で比べた時に、質量がいくらであるという性質
「電子てんびん」や「メスシリンダー」を使って実験をしたね。
D:水に入れた時のようすでわかるもの
- 塩や砂糖は水に入れると溶けるが、油は溶けないという性質
小学校の理科でも、食塩やミョウバンを溶かす実験をしたね。
E:熱したときの様子でわかるもの
- 物質そのものを加熱したときに溶ける、溶けないという性質
「蒸発皿」や「るつぼ」に入れて、ガスバーナーで熱する実験をしたね。
F:薬品を使って調べる。
- 試験紙や薬品に反応するという性質
「リトマス紙」で調べたり、「石灰水」を入れて反応を見る実験をしたね。
今回の学習で学ぶ「金属の性質」も、これらの方法を使って「金属にはどんな性質があるのか?」を調べるんだよ。
金属と非金属の違いとは
「非金属」とは、その名のとおり、「金属ではない」もののこと。
「金属の性質」を調べるには、「金属ではないもの」と比べるのが一番だよね。
だから、「金属と非金属の違い」について考えるんだ。
金属と非金属の違いを調べる実験
今回の学習では、金属と非金属の違いを調べるのに、次の2つの実験をするよ。
- 電気を通すかを調べる
- 磁石につくかを調べる
実験の方法
【用意するもの】
「金属と非金属の性質の違い」を調べたいんだから、「金属」と「非金属」のサンプルをそれぞれ用意して実験するよ。
金属と言われて、すぐに思いつくのは、金・銀・銅、鉄、アルミニウムなどだね。
そして逆に、非金属はこれらの性質を持たない物質だね。例えば、木やゴム、石など、本当にたくさんあるよ。
なので、サンプルとして、以下のものを用意したよ。
金属のサンプル
⇒スチールかん、アルミニウムかん、鉄くぎ
非金属のサンプル
⇒プラスチック、ガラス、CD
【「電気を通すかどうか」を調べる方法】
「電気を通すかどうか」を調べるには、豆電球の回路につなげて、豆電球が点くかどうかを試せばよいね。
豆電球だけではなく、電流計を使うとより正しく測ることができるね。
装置図(調べるために装置をどうやって使うかということ)は、こんな感じだよ。
豆電球の回路の途中に、調べたいものを接続すればいいね。
【「磁石につくかどうか」を調べる方法】
「磁石につくかどうか」を調べるには、U字磁石や棒磁石などを、調べたい物質に近づけて、磁石につくかどうかを観察すればいいね。
実験の結果
結果は次の表のようになったよ。
電気を通すかどうかの実験(金属)
調べる物 | スチールかん | アルミニウムかん | 鉄くぎ |
電気を通すか | 通す | 通す | 通す |
電気を通すかどうかの実験(非金属)
調べる物 | プラスチック | ガラス | CD |
電気を通すか | 通さない | 通さない | 通さない |
磁石につくかどうかの実験(金属)
調べる物 | スチールかん | アルミニウムかん | 鉄くぎ |
磁石につくか | つく | つかない | つく |
磁石につくかどうかの実験(非金属)
調べる物 | プラスチック | ガラス | CD |
磁石につくか | つかない | つかない | つかない |
実験の結果と考察
結果から分かるように、「金属は電気をよく通すけれど、非金属は通さない」と言えるね。
でも、「金属は磁石につく」とは言えないね。だって、アルミニウムかんが磁石につかなかったから。
余裕があったら読もう!そのほかの「金属と非金属の違いを調べる実験」
今回の実験以外にも、金属と非金属の違いをしらべる実験があるよ。
【用意するもの】
- アルミホイル(金属)
- ゴムバンド(非金属)
【実験の方法】
アルミホイルとゴムバンドの、それぞれ片方の端をお湯の容器に入れて、もう片方の端を手で持つ。
しばらく待ってから、どちらが先に温かくなるかを調べる。
【結果と考察】
アルミホイル(金属)の方が先に温かく(または冷たく)なる。
このことから、金属は熱をよく伝えることがわかる。
非金属であるゴムバンドは、熱や冷たさを伝えにくく、すぐには変化を感じにくいことがわかる。
金属の性質5つとは
今回の実験では、「金属は電気を通す」こと、「金属は磁石に必ずつくとは言えない」ということがわかったね。
このように色々な実験をすることによって、金属には以下の5つの性質があることがわかっているんだ。
(1)光沢がある
太陽の光や部屋の灯りに反射して、金属はキラキラと輝いて見えるね。
例:銀のスプーンやアルミニウムの缶は、光に反射して輝くよ。
(2)電気をよく通す
今回の学習でもわかった性質だね。
金属は電気のよい通り道となるので、電気製品によく使われているよ。
例:電池の中の銅の線や、電気スタンドの中のワイヤー。
(3)熱をよく伝える
金属は、熱さや冷たさをすぐに伝える性質があるね。
例:ステンレスのスプーンを熱いスープに入れると、すぐにスプーンも熱くなる。夏の太陽の日差しが当たった道路のマンホールのフタが熱くなる。
(4)引っ張るとよく伸びる(延性)
金属は、熱を加えたりすることで伸ばすことができるよ。
伸ばすことができることを、「延性」というよ。
例:熱しておいて引き延ばした物の例として、針とか針金とかがあるよ。
(5)たたくとうすく広がる(展性)
金属は、熱を加えたりしてたたくと広がるんだ。
金属の「たたくとうすく広がる性質」を「展性」と言うよ。
例:写真を見るとよくわかるように、包丁や刀もこの性質を利用して作られているよ。
金属の性質5つまとめ
- みがくと光る(金属光沢をもつ)
- 電気をよく通す
- 熱をよく伝える
- 引っ張るとよく伸びる(延性)
- たたくとうすく広がる(展性)
金属の性質一覧
金属の性質をまとめると次の表のようになるよ。「光沢、電気、熱、延性、展性」と整理しておこう。
金属の性質 | 中学生の理科で知るべきポイント |
---|---|
1. みがくと光る (金属光沢) |
・多くの金属は表面を磨くと明るく光る特性があります。 ・この光沢は金属結晶の構造と、金属の自由電子によって生じるものです。 |
2. 電気をよく通す | ・金属には自由に動くことができる電子(自由電子)が存在します。 ・この自由電子が電流の形で移動することで、金属は良い導体となります。 |
3. 熱をよく伝える | ・自由電子が熱のエネルギーを素早く伝える能力があるため、 金属は熱伝導性が高いです。 ・これが、鍋やフライパンなど料理器具に金属がよく使われる理由です。 |
4. 引っ張ると細く伸びる (延性) |
・金属の結晶構造により、ある力を加えると形が変わるものの、そのまま破壊されにくい特性があります。 ・この特性を利用して、金属線や金属板を作ることができます。 |
5. たたくとのびて薄く広がる (展性) |
・金属は力を加えることで形を変えることができますが、壊れにくいので、薄いシートや板に加工することが可能です。 ・コインの製造や金属加工においてこの特性が重要となります。 |
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。