『水墨画』の技法を徹底解説!にじみ・かすれ・破墨の意味と鑑賞のポイント
水墨画とは、主に墨を使い、墨の濃淡やにじみ、かすれ、余白などを生かして描く絵画のことだよ。
中学美術では、水墨画の特徴として、墨の濃淡、にじみ、かすれ、ぼかし、余白、破墨などを学習することが多いんだ。
この記事では、水墨画とはどのような絵画なのか、墨だけでどのように表現を広げるのか、テストでよく出る技法の意味を中学生にもわかりやすく解説していくよ。
この記事で分かること
- 水墨画とは何か
- 墨の濃淡で何を表すのか
- にじみ・かすれ・ぼかしの違い
- 破墨とはどのような技法か
- 三墨法・勾勒法・没骨法とは何か
- 余白が水墨画で大切にされる理由
- 水墨画の鑑賞文で書くポイント
目次
1. 水墨画とは

水墨画とは、主に墨を使って描く絵画のことだよ。
色をたくさん使う絵とはちがって、水墨画では、墨の黒だけでなく、水で薄めた淡い墨、紙に広がるにじみ、筆のかすれ、余白などを生かして表現するんだ。
「墨だけ」と聞くと、単純な白黒の絵を想像するかもしれないね。でも、水墨画では、墨の濃さや筆づかいによって、山の奥行き、霧の空気、竹のしなやかさ、岩の重さ、風の動きなど、いろいろなものを表すことができるんだ。
水墨画の基本
- 主に墨を使って描く絵画。
- 墨の濃淡、にじみ、かすれ、ぼかし、余白などを生かす。
- たくさんの色を使わなくても、奥行きや空気感を表せる。
- 鑑賞では、筆づかいや墨の表情に注目する。
たろう
くまごろう2. 水墨画の歴史
水墨画は、中国で発展し、日本にも伝わって発展した絵画表現だよ。
中国では、山や川などの自然を描く山水画などの中で、墨の濃淡や筆づかいを生かした表現が発展していったんだ。
日本には、主に禅宗の文化とともに水墨画が伝わり、鎌倉時代から室町時代にかけて大きく発展したよ。
日本では、雪舟が水墨画を代表する画家のひとりとしてよく知られているんだ。雪舟は、中国で学んだ表現をもとにしながら、日本独自の水墨画の表現を深めた人物として学習されることが多いよ。
歴史のポイント
- 水墨画は中国で発展した。
- 日本には禅宗の文化とともに伝わった。
- 日本では鎌倉時代から室町時代にかけて発展した。
- 雪舟は、日本の水墨画を代表する画家のひとり。
3. 水墨画は墨だけで描くの?
水墨画は、基本的には墨を中心に描く絵画だよ。
ただし、水墨画の中には、淡い色を少し加えた作品もあるんだ。そのため、「水墨画=絶対に墨だけ」と考えるより、墨の表現を中心にした絵画と考えると分かりやすいよ。
中学美術では、まずは「墨の濃淡や筆づかいで表す絵画」として理解するとよいよ。
墨の濃さを変えるだけでも、濃い黒、少し薄い灰色、とても淡い灰色など、さまざまな調子をつくることができるんだ。
| 墨の使い方 | 表せる印象 |
|---|---|
| 濃い墨 | 力強さ、重さ、近くにある感じ |
| 薄い墨 | やわらかさ、遠くにある感じ、霧や空気 |
| にじみ | やわらかい広がり、湿った感じ |
| かすれ | ざらざらした質感、乾いた感じ、勢い |
| 余白 | 空気、光、水、広がり、静けさ |
4. 墨の濃淡とは
墨の濃淡とは、墨の濃い・薄いの違いのことだよ。
墨は、水の量を変えることで、濃くも薄くもできるんだ。水が少ないと濃い墨になり、水が多いと薄い墨になるよ。
水墨画では、この濃淡を使って、ものの明るさや暗さだけでなく、遠近感や空気感も表すことができるんだ。
たとえば、手前の岩や木を濃い墨で描き、遠くの山を薄い墨で描くと、近くと遠くの違いが感じられるよ。
墨の濃淡で表せること
- 近い・遠いなどの奥行き
- 明るい・暗いなどの調子
- 重い・軽いなどの印象
- 霧や空気のようなやわらかさ
たろう
くまごろう5. 三墨法とは

三墨法とは、墨の濃さを濃墨、中墨、淡墨の3つに分けて使い分ける考え方のことだよ。
読み方は、それぞれ濃墨(のうぼく)、中墨(ちゅうぼく)、淡墨(たんぼく)だよ。
中学美術では必ず大きく扱われるとは限らないけれど、墨の濃淡を理解するうえで知っておくと役に立つ言葉なんだ。
| 墨の種類 | 読み方 | 特徴 | 表しやすいもの |
|---|---|---|---|
| 濃墨 | のうぼく | 濃い墨 | 近くのもの、力強さ、重さ |
| 中墨 | ちゅうぼく | 中くらいの濃さの墨 | ものの形、ほどよい調子 |
| 淡墨 | たんぼく | 薄い墨 | 遠くのもの、霧、空気感 |
濃墨・中墨・淡墨を使い分けることで、画面に奥行きや変化を出すことができるんだ。
6. にじみとは
にじみとは、墨が紙の上でじわっと広がる表現のことだよ。
水分を多く含んだ筆で描いたり、水を含みやすい紙に描いたりすると、墨が線の外側へやわらかく広がるんだ。
にじみを使うと、はっきりした線だけでは出しにくい、やわらかい雰囲気や湿った空気、霧のような感じを表すことができるよ。
たとえば、山のまわりの霧、雨の日の空気、水辺のぼんやりした景色などを表すときに、にじみの表現が役立つんだ。
にじみのポイント
- 墨が紙の上でじわっと広がる。
- 水分が多いと起こりやすい。
- やわらかい雰囲気や霧のような表現に向いている。
- 偶然できる形も表現に生かせる。
7. かすれとは
かすれとは、筆に含まれる墨や水分が少なくなり、線がところどころ途切れたり、ざらざらしたりする表現のことだよ。
筆が乾き気味のときや、すばやく筆を動かしたときに、かすれた線が出やすくなるんだ。
かすれを使うと、岩や木の幹のざらざらした質感、枯れた草、乾いた空気、勢いのある筆づかいなどを表すことができるよ。
水墨画では、きれいに塗りつぶすだけでなく、こうしたかすれた線も大切な表現になるんだ。
かすれのポイント
- 筆の墨や水分が少ないと出やすい。
- 線が途切れたり、ざらざらしたりする。
- 岩、木、草などの質感を表しやすい。
- 勢いや乾いた感じを出すことができる。
たろう
くまごろう8. ぼかしとは
ぼかしとは、濃いところから薄いところへ、境目をやわらかく変化させる表現のことだよ。
はっきりした線で区切るのではなく、墨の濃さが少しずつ変わっていくように描くことで、やわらかい陰影や空気感を表すことができるんだ。
ぼかしは、山の遠近感、雲や霧、水面の広がりなどを表すときに使われることがあるよ。
にじみと似ているけれど、にじみは墨が紙の上で自然に広がる感じ、ぼかしは濃淡の変化をやわらかくつなげる感じ、と整理すると分かりやすいよ。

にじみ・かすれ・ぼかしの覚え方
- にじみ=じわっと広がる。
- かすれ=線が途切れる、ざらつく。
- ぼかし=濃淡の境目をやわらかくする。
| 表現 | 特徴 | 表しやすいもの |
|---|---|---|
| にじみ | 墨がじわっと広がる | 霧、湿った空気、水辺 |
| かすれ | 線が途切れたり、ざらついたりする | 岩、木の幹、乾いた質感 |
| ぼかし | 濃淡の境目をやわらかくする | 遠近感、雲、陰影 |
9. 破墨とは

破墨とは、濃い墨と薄い墨を意図的に重ねることで、複雑な濃淡の変化をつくる水墨画の技法のことだよ。
「破」という字が入っているけれど、絵をこわすという意味ではないよ。ひとつの濃さだけで描くのではなく、濃い墨と薄い墨を重ねて、墨の調子を変化させる表現なんだ。
たとえば、薄い墨で描いた上に濃い墨を重ねたり、濃い墨で描いた上に薄い墨を重ねたりすることで、墨の表情に深みが生まれるよ。
破墨は、単に墨が自然にじわっと広がる「にじみ」とは少しちがうよ。濃い墨と薄い墨を重ねて、墨の変化を意図的に生かすところがポイントなんだ。
墨がまだ乾いていないうちに重ねると、墨どうしが混ざり合いやすくなるよ。一方、乾いたあとに重ねると、前の墨の形を残しながら、別の濃さを加えることができるんだ。
破墨を使うと、山や岩の重なり、木の幹の複雑な質感、霧の中に見える景色などを表しやすくなるよ。
破墨のポイント
- 濃い墨と薄い墨を意図的に重ねる。
- 墨の濃淡の変化を生かす。
- 自然に広がる「にじみ」とは区別して覚える。
- 複雑な質感や奥行きを表しやすい。
- 山水画などで、岩や山の表現に使われることがある。
たろう
くまごろう10. 勾勒法と没骨法とは

水墨画や東洋の絵画表現では、勾勒法や没骨法という言葉が出てくることもあるよ。
中学美術では発展的な内容として扱われる場合もあるけれど、知っておくと水墨画の表現をより深く理解できるんだ。
| 技法 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 勾勒法 | こうろくほう | 輪郭線を描いてから、内側を描いていく方法。 |
| 没骨法 | もっこつほう | はっきりした輪郭線を使わず、面や濃淡で形を表す方法。 |
勾勒法は、ものの輪郭を線ではっきりと示す表現だよ。竹の葉や花の形を輪郭でとらえるときなどに使われることがあるんだ。
没骨法は、輪郭線に頼らず、筆の面や墨の濃淡で形を表す表現だよ。やわらかい花びらや葉、空気を含んだような形を表すときに向いているんだ。
覚え方
- 勾勒法=輪郭線で形をとる。
- 没骨法=輪郭線を使わず、面や濃淡で形を表す。
11. 余白のはたらき
水墨画では、何も描かれていないように見える余白も、とても大切な表現だよ。
余白とは、画面の中で絵の具や墨が置かれていない空間のことだよ。
水墨画では、この余白が、空、霧、水、光、静けさ、広がりなどを感じさせることがあるんだ。
たとえば、山のまわりに何も描かれていない部分があると、そこが霧や空気のように見えることがあるよ。川や湖をあえて描きこまず、余白で水の広がりを表すこともあるんだ。
つまり、水墨画では「描いてあるところ」だけでなく、描いていないところも表現の一部なんだね。
余白で表せるもの
- 空や光
- 霧や空気
- 水面や川の広がり
- 静けさや余韻
- 画面の奥行き
12. 水墨画で使う道具
水墨画では、主に筆、墨、硯、水、紙を使うよ。
これらは、書道でも使われる道具と共通しているものが多いね。
水墨画では、筆に含ませる水や墨の量、筆の角度、筆を動かす速さによって、線や面の表情が大きく変わるんだ。
| 道具 | 役割 |
|---|---|
| 筆 | 線や面を描く。角度や動かし方で表情が変わる。 |
| 墨 | 濃淡や黒の強さをつくる。 |
| 硯 | 墨をすったり、墨をためたりする。 |
| 水 | 墨を薄めたり、にじみやぼかしを生み出したりする。 |
| 紙 | 墨のにじみやかすれの出方に関わる。 |
同じ墨でも、紙や筆の状態が変わると、まったく違う表情になるよ。だから水墨画では、道具の性質を生かすことも大切なんだ。
13. 水墨画の鑑賞ポイント
水墨画を鑑賞するときは、「何が描かれているか」だけでなく、「どのように描かれているか」に注目しよう。
特に、墨の濃淡、線の強弱、にじみ、かすれ、ぼかし、破墨、余白の使い方を見ると、作品のよさを感じ取りやすくなるよ。
水墨画を見るポイント
- 墨の濃淡はどのように使われているか。
- にじみやかすれは、何を表しているか。
- 破墨によって、どのような深みや変化が出ているか。
- 余白は、空・水・霧・静けさなどに見えるか。
- 筆の動きから、勢いやリズムを感じるか。
- 描かれていない部分も含めて、どんな空気感があるか。
水墨画では、細かく描きこまれていないからこそ、見る人が想像できる部分が多いんだ。
「何もない」と感じる余白にも、空気や水、時間の流れが感じられることがあるよ。
14. 水墨画の鑑賞文の書き方
水墨画の鑑賞文を書くときは、ただ「きれい」「すごい」と書くだけではなく、どの表現からそう感じたのかを書くことが大切だよ。
次のように、見つけたこと、感じたこと、根拠を結びつけると書きやすくなるよ。
鑑賞文の書き方
- 見つけたこと:墨の濃淡、にじみ、かすれ、ぼかし、余白など。
- 感じたこと:静か、力強い、やわらかい、奥行きがあるなど。
- 根拠:なぜそう感じたのかを、表現の特徴から説明する。
たとえば、次のように書くことができるよ。
鑑賞文の例
「この水墨画では、手前の木が濃い墨で描かれ、遠くの山が薄い墨で描かれている。そのため、画面に奥行きが感じられる。また、余白が霧や空気のように見え、静かで落ち着いた雰囲気が伝わってくる。」
もっと短く書くなら、次のような形でもよいよ。
短い鑑賞文の例
「墨の濃淡によって、近くのものと遠くのものの違いが表されている。余白からは、霧のような静かな空気を感じた。」
鑑賞文では、表現の特徴と自分が感じたことをつなげることが大切なんだ。

15. 重要語句まとめ
最後に、この単元で出てきた重要語句を確認しておこう。
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 水墨画 | 主に墨を使い、濃淡や筆づかいを生かして描く絵画。 |
| 墨の濃淡 | 墨の濃い・薄いの違い。奥行きや空気感を表すことができる。 |
| 三墨法 | 墨を濃墨・中墨・淡墨の3つに分けて使い分ける考え方。 |
| 濃墨 | 濃い墨。力強さや近くのものを表しやすい。 |
| 中墨 | 中くらいの濃さの墨。ものの形やほどよい調子を表しやすい。 |
| 淡墨 | 薄い墨。遠くのものや霧、空気感を表しやすい。 |
| にじみ | 墨が紙の上でじわっと広がる表現。 |
| かすれ | 筆の墨や水分が少なく、線が途切れたりざらついたりする表現。 |
| ぼかし | 濃淡の境目をやわらかく変化させる表現。 |
| 破墨 | 濃い墨と薄い墨を意図的に重ねることで、複雑な濃淡の変化をつくる技法。 |
| 勾勒法 | 輪郭線を描いてから、内側を描いていく方法。 |
| 没骨法 | はっきりした輪郭線を使わず、面や濃淡で形を表す方法。 |
| 余白 | 画面の中で何も描かれていない部分。空気、水、霧、静けさなどを感じさせる。 |
| 筆づかい | 筆の動かし方や力の入れ方。線の強弱や勢いに関わる。 |
| 山水画 | 山や川などの自然を主な題材にした絵画。 |
| 雪舟 | 日本の水墨画を代表する画家のひとり。 |
この単元で特に大切なこと
- 水墨画は、主に墨を使って描く絵画。
- 墨の濃淡で、奥行きや空気感を表すことができる。
- 濃墨・中墨・淡墨を使い分ける考え方を三墨法という。
- にじみは、墨がじわっと広がる表現。
- かすれは、筆の水分や墨が少なく、線が途切れたりざらついたりする表現。
- ぼかしは、濃淡の境目をやわらかく変化させる表現。
- 破墨は、濃い墨と薄い墨を意図的に重ね、墨の変化を生かす技法。
- 余白は、空気・水・霧・静けさなどを感じさせる大切な表現。
- 鑑賞文では、墨の表現と感じたことを結びつけて書く。
ここまで学習できたら、ぜひ「水墨画」のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!
『水墨画』テスト対策練習問題と過去問まとめ
【中学美術】「水墨画」重要語句ドリル
【中学美術】「水墨画の表現技法」内容理解ドリル
【中学美術】「水墨画の鑑賞」内容理解ドリル
運営者情報
yumineko
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

