物質の三態「状態変化と熱運動」とは?わかりやすく解説

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目次

物質の三態と状態変化とは

水・氷・水蒸気は、どれも水(H₂O)という物質が姿を変えたかたちなのは知っているよね。

川を流れている水は「液体」で、
冷凍庫で凍らせた氷は「固体」
目に見えないけれど空気中にただよっている水蒸気が「気体」だよ。

水は、ふつう0℃以下では固体になり、100℃以上では気体になるよ。
ちなみに、水は気圧の低い富士山の上では100℃より低い温度で沸騰したり、圧力鍋の中では100℃を越えても液体のままだったりするから、温度以外にも圧力の大きさも物質の状態変化にかかわっているんだ。

このようにあらゆる物質は温度や圧力に応じて、固体・液体・気体のいずれかの状態になるんだ。

この「固体・液体・気体」3つの状態を「物質の三態」というよ。また、この三態間の変化、たとえば「液体から気体になる」とか、「固体から液体になる」とかいう変化を「状態変化」というんだ。

融解・凝固・凝縮とは

三態間の変化をまとめて「状態変化」というけれど、「どの状態からどの状態に変化するか」で、それぞれさらに呼び方があるよ。

物体の三態を表したイラスト

固体から液体への変化「融解(ゆうかい)」

たとえば固体である氷がとけると液体の水になるよね。
このように固体から液体へ変化することを「融解」というよ。

そしてこの「固体が液体へ変化するときの温度」を「融点」というよ。
水だったら、通常0℃になると氷はとけて水になるので、水の融点は「0℃」だね。

液体から固体への変化「凝固(ぎょうこ)」

逆に液体である水が凍ると固体の氷になるね。
このように液体から固体へ変化することを「凝固」というよ。

この「液体が固体へ変化するときの温度」は「凝固点」というんだ。
水だったら、通常0℃になると凍って氷になるので、水の凝固点は「0℃」だよ。

たろうたろう

あれ?凝固点と融点、どちらも0℃なら、どうしてわざわざ2つも呼び方を作っているの?

たしかに、水の場合は凝固点と融点はおなじ0℃だね。
でも、この凝固点と融点は、物体によってはおなじ温度ではないものもあるんだ。
ある物体と物体を混ぜた「混合物」だったりしても、凝固点と融点は変わってしまうので、やっぱり2つとも必要なんだよ。

液体から気体への変化「蒸発」

水をずっと加熱すると、沸騰しはじめるよね。沸騰は、液体である水が気体になっている状態だよね。
加熱しなくても、水をずっと放置していると、いつのまにか水が少なくなっているときもあるよね。これも、水の中の水分子の一部が液体から気体になってしまったから、水が少なくなるんだ。
このように、液体の水が気体の水蒸気になることを「蒸発(じょうはつ)」というよ。

この「液体が気体へ変化するときの温度」は「沸点」というんだ。
水は通常100℃で沸騰するので、水の沸点は「100℃」だね。

でも、放置している水が蒸発してしまう場合を考えると、水は100℃よりも全然低い温度なのに蒸発してしまっているということだよね。
これはどういうことかというと、水の中の水分子は、基本的にいつも動いているんだ。そして、水分子同士がぶつかったりしてエネルギーが生み出されると、その力で液体から気体へ変化する水分子が出てきたりするんだ。
だから、自然に置いておくだけでも少しづつ水分子が気体に変化していってしまって、水が減っていくんだよ。

100℃に熱すると、すべての水分子にエネルギーが伝わっている状態なので、どんどんすべての水分子が気体に変化していく「沸騰」の状態になるというわけだね。

気体から液体への変化「凝縮」

逆に気体の水蒸気が液体の水にもどることを「凝縮(ぎょうしゅく)」というんだ。冷蔵庫で冷やしておいたペットボトルを部屋の中に置いておくと、ペットボトルに水滴が付くよね。これは部屋の空気に含まれている水蒸気(気体)が水滴(液体)になっているんだよ。
このように「気体が液体へ変化するときの温度」は「凝縮点」というよ。

「昇華」と「凝華」

さらに、物質によっては、液体にならずに固体から一気に気体、気体から一気に固体に直接変化することがあるよ。

例えば二酸化炭素(CO₂)は、固体のドライアイスから気体へと変化するよ。

このように固体から気体になる変化を「昇華(しょうか)」といい、その逆に気体から固体になる変化を「凝華(ぎょうか)」というから覚えておこうね。

物理変化と化学変化の違い

物理を勉強していると出てくる「物理変化」と「化学変化」の違いはハッキリ理解できているかな?
2つの違いを整理しておこう。

暑いところにチョコレートを出しっぱなしにしたりすると、チョコレートがとけて形が変わることがあるよね。
でもとけたからといって、チョコレートではない別のものになったりはしないよね。

また、水(H₂O)は凍っても水だし、蒸発しても水だよね。

このように、「固体から液体になったり」「液体から気体になったり」という変化では、「物質そのもの」は変化していなくて、「状態」だけが変化しているんだよね。
これを「物理変化」というよ。

それに対して、水(H₂O)を電気分解して、水素(H₂)と酸素(O₂)に分かれたというような変化は、水から異なる物質である水素と酸素に変わっているよね。このように、「物質そのもの」が変化したり分かれたりするものを「化学変化(化学反応)」というんだよね。

物理変化と化学変化を表したイラスト

この2つの違いを、しっかり区別して理解しておこうね。

状態変化と熱運動の関係

水を0℃に冷やすと氷になったり、100℃にすると気体になったり・・・。温度が変化すると、なぜ物質の状態が変化するのか考えたことはないかな?

これを理解するためには、物質は「原子や分子などの粒子」でできているということを考える必要があるよ。

水の蒸発のときにも少し説明したけれど、実は物質をつくる粒子はつねに運動していて、これを「熱運動」というんだ。

物質の温度が低いときは、粒子の運動は穏やかなんだよ。
物質の粒子の間にはいつも引力(分子間力など)がはたらいているから、粒子同士が規則正しい配置でくっついた「固体の状態」が保たれているんだ。

物質の温度が上がると、粒子の動きが激しくなって、ばらばらになろうとする力が大きくなるんだ。この力が引力より大きくなると、物質は固体の形を保てなくなって規則正しい配置が乱れて、「液体の状態」になるよ。

さらに物質の温度が上がると、粒子が引力をふりきって自由な運動をするようになるんだ。これが「気体の状態」だね。このように、状態変化は物質をつくる粒子の熱運動の激しさによって起こっているんだね。

熱運動を表したイラスト

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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