「旧石器時代」をわかりやすく解説(期末テスト対策ポイント)
更新世の日本
「日本の歴史」は「更新世」からスタートするよ。
更新世??
今まで聞いたことがない言葉でサッパリ・・・
更新世というのは、「地質学」で使われる言葉なんだ。
更新世ってなに??
歴史には、「どんなことが起こったか、ちゃんと文字などで書かれた書物が残っている」時代と、それよりもっと昔の「まだ字などがなくて、なにも書物は残っていない時代」があるよね。
なにも書物が残っていない時代のことを、「先史時代」と呼ぶんだ。
※字などで記録が残っている時代は「有史時代」と呼ぶよ。
「史料」が残っているよりも「先(前)」の時代、というイメージ??
そういう時代に、地球上どんなことが起こったり、どんな生き物がいたかなどを調べるには、化石や地層などを調べるしかないよね。だからそういう時代を、「地質時代」とも呼ぶんだ。
調べる方法は時代ごとに色々方法があるんだ。そしてその方法ごとに時代に名前が付いてるんだよ。
ここからはとっても複雑な話になるので、「更新世」についてシッカリ学習したいときに読もう!
難しい場合は、最後の男の子のまとめのセリフだけ読んでみてね(汗)
例えば、5億年前くらいまでの事は「生き物の化石」が残っているから比較的研究がしやすい。この時代の頃を「顕生代」と呼ぶよ。
でも25億年前位になると、その化石も顕微鏡で見ないとわからないくらい小さくなってしまっているから結構大変。この頃を「原生代」と呼ぶ。
さらに40億年前位になると、もう化石も残っていないので、地層や岩石しか手がかりがなくなてしまう「太古代(始生代)」。
そして地球が生まれた45億年前までになってしまうと、もう地球上にあるものでは手がかりがなくて、月の石とか隕石を手がかりにしなくてはならない「冥王代」。
なんだか果てしない話だね・・
さらに、そのそれぞれ時代も、そのころ栄えた生物などによって、さらに区分けされているんだ。
くわしく話すととても長くなってしまうから省略するけど、たとえば「恐竜」が栄えていたのは「顕生代」のなかの「中生代」のなかの「白亜紀」。
白亜紀というのは聞いたことある!
恐竜が絶滅してしまって「白亜紀」はおわり、こんどは「顕生代」の「新生代」が始まって哺乳類や魚類などが栄えたんだ。
君たち「ヒト」は、この「顕生代」の「新生代」の「新第三期」の終わり頃に誕生したよ。
700万年前のアフリカで誕生した人類はこの頃のことなんだね。
そして「新第三期」が終わって「第四期」が始まるんだけど、その前半が「更新世」なんだ。
「更新世」は地球が氷河に覆われていた時代で、大型哺乳類のマンモスやナウマン象などがいた時代だよ。
氷期が終わって間氷期になると、大型哺乳類は絶滅してしまった。
そして「更新世」は終わって「完新世」がはじまった。
君たちが生きている現在の時代は、この「完新世」なんだ。
うーん。
まとめると、地球の歴史は字での記録が残っていない時代があって、それは調べる方法ごとで名前がつけられていて、さらに栄えた生物ごとに細かく名前がつけられている。
更新世というのは、化石などで歴史が分かる時代の、地球が氷河で覆われていて大型哺乳類が栄えていた時代のこと。
・・・・でいいかな?
更新世のころの日本
更新世の頃は、地球が氷河に覆われていたんだよね。なので、海水の大半が凍っているぶん、海面は今よりも低くて日本は大陸と陸続きだったよ。
大陸にいたナウマン象やオオツノシカなどの大型動物が日本にもやってきた。
そしてそれらの動物を狩るために追ってきた人々も、日本にやってきた。
日本に人類がやってきたのが更新世のころだから、日本の歴史は更新世からスタートしたと考えられているんだね。
人々の食生活
人々は、大型動物を飼って食べる「狩猟」や、木の実などを採って食べる「採取」で生活していたよ。
人々の使っていた道具
大型動物を倒すために使っていたのは石器。石を打ち欠いて加工しただけのカンタンな「打製石器」を使っていたよ。材料としては、黒曜石などが使われていた。
ソコ、ちょっと不思議なんだけど、石なんかで大型動物をやっつけたって本当??
黒曜石って凄いんだよ。
「人類が発明したもっとも鋭い刃物」と言われているくらいなんだ。
セラミックナイフよりも鋭い切れ味なんだって。
黒曜石
火山から噴き出した溶岩が冷えて固まってできた天然のガラス。
ガラスの破片をイメージしてみて。とても鋭いよね。
黒曜石を打ち欠いてできた破片は、鋼鉄の刃よりも威力があると言われているよ。
黒曜石は硬度は高い(とても硬い)けど、脆い(もろい)という特徴を持っているんだ。だから石などで打ちかくと、比較的簡単に割れて鋭い破片が沢山出来たんだね。
打製石器は「旧石器」なので、この時代を「旧石器時代」とも呼ぶよ。また、この頃の文化を「旧石器文化」と呼ぶ。
更新世の終わり頃には、「細石器(さいせっき)」も使われていた。細石器は、字のとおり細かい刃のような石を木や骨と組み合わせた道具だよ。
この時代の遺跡は?
旧石器時代のことが分かる日本の遺跡は、1946年に発見された群馬県の「岩宿遺跡」。
更新世の頃に堆積した「関東ローム層」の中から旧石器が発見されたことで、日本に旧石器時代があったことが分かったんだ。
それまでは日本には
「旧石器時代がなかった」というのが常識だったんだ。すごい発見だったんだよ。
長野県の野尻湖遺跡では、打製石斧(だせいせきふ・手で握るタイプのオノ)やナイフ型石器、尖頭器(先の尖った石器で、木の棒の先につけて石槍として使ったよ)と大型動物の骨などが見つかって、日本でも大型動物を狩猟する生活があったことが分かったんだよ。
日本では、どんな人骨が見つかったの?
人類は、700万年前に登場したよね。そのころの人類は「猿人」と呼ばれていて、それからどんどん進化して「原人」、そして「旧人」、そして今の君たちと同じ「新人」が誕生した。
北京原人とかジャワ原人なんて言葉は知っているんじゃないかな?
これは、北京で化石が見つかった原人を「北京原人」と名づけているからなんだ。
日本では、いまのところ「新人」以外の化石が発見されていないんだ。
日本で見つかった新人の化石は、
静岡県で見つかった「浜北人(はまきたじん)」、沖縄県で見つかった「港川人(みなとがわじん)」と「山下町洞人(やましたちょうどうじん)」だよ。
浜北人は、静岡県浜北市の洞窟で見つかったよ。
20代の女性の化石で、炭素14法(物質がどのくらい前のものか分かる検査法)で1万4000~1万8000年前のもの、つまり旧石器時代の人骨だと分かったんだ。
骨の形から、新人だったことも分かっているよ。
港川人は、沖縄の港川の海岸近くで見つかったよ。
たくさんの人の骨が見つかって、4体分の完全骨格が揃ったんだ。
日本で見つかった人骨化石の中でも、最も保存状態が良いと言われているよ。
155センチ位の男性と、144センチ位の女性の骨で、小柄だったとのこと。
やはり炭素14法で1万8000年前のころの人骨だと分かっているよ。
骨の形から、やはり新人の人骨だと言われているよ。
山下町洞人は、沖縄県山下町第一洞穴から見つかったよ。
3万2000年前くらいの6~8歳の女の子の化石とのこと。
骨から新人だったことがわかっているよ。
現在発見された日本の人骨化石で最も古いものと言われているんだけど、実は炭素14法で調べたのは人骨自体ではなく、一緒にあった木炭を調べたので、確実ではないという意見もあるらしいよ。
どんなところに住んでいたの?
この頃の人々は、狩猟をして生活していたので、動物を追って住まいを変えなくてはいけない移住生活だった。
なので、住居は簡単に作れる「テント式の小屋」や、自然に出来ている洞窟などを利用する「洞穴住居(どうけつじゅうきょ)」だったよ。
高校日本史ではココを押さえればOK!
「旧石器時代」まとめ
- 「更新世」は地球が氷河に覆われていた時代で、大型哺乳類のマンモスやナウマン象などがいた時代
- 氷期には海面は今よりも低くて日本は大陸と陸続きだった
- 人々は、大型動物を飼って食べる「狩猟」や、木の実などを採って食べる「採取」で生活していた
- 人々は「打製石器」を使っていた。打製石器は「旧石器」なので、この時代を「旧石器時代」とも呼ぶ。また、この頃の文化を「旧石器文化」と呼ぶ。
- 更新世の終わり頃には、細石器も使われていた。
- 旧石器時代のことが分かる日本の遺跡は、1946年に発見された群馬県の「岩宿遺跡」。
更新世の頃に堆積した「関東ローム層」の中から旧石器が発見されたことで、日本に旧石器時代があったことが分かった - 長野県の野尻湖遺跡では、打製石器と大型動物の骨などが見つかり、日本でも大型動物を狩猟する生活があったことが分かった
- 日本では、「新人」以外の化石は発見されていない
- 日本で見つかった新人の化石は静岡県の「浜北人」、沖縄県の「港川人」と「山下町洞人」
- このころの住居は簡単に作れる「テント式の小屋」や、「洞穴住居」
- 並び項目
次は縄文時代について解説するよ!
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。