パブロ・ピカソ『ゲルニカ』鑑賞のポイント解説!背景やモチーフの意味まとめ
「ゲルニカ」は、スペインの画家パブロ・ピカソが1937年に描いた、戦争の悲しみや苦しみを強く伝える作品だよ。
中学美術では、「ゲルニカ」を通して、作品の時代背景、白黒で描かれた理由、ゆがんだ形や分解された形、牛・馬・母子・兵士・ランプなどのモチーフの意味を考えることが多いんだ。
この記事では、ピカソの「ゲルニカ」について、作品の背景や表現の特徴、鑑賞文で書くポイントを中学生にもわかりやすく解説していくよ。
この記事で分かること
- 「ゲルニカ」はどんな作品か
- ピカソが「ゲルニカ」を描いた時代背景
- 白黒で描かれている理由
- 牛・馬・母子・兵士・ランプなどのモチーフの見方
- キュビスム的な表現の特徴
- 鑑賞文を書くときのポイント
目次
1. 「ゲルニカ」とは
「ゲルニカ」は、スペインの画家パブロ・ピカソが1937年に制作した大きな絵画だよ。
作品は、スペイン内戦中に起きたゲルニカ爆撃をきっかけに描かれたとされているんだ。画面には、苦しむ人間や動物、倒れた兵士、泣き叫ぶ母親、光を持つ人物などが描かれているよ。
「ゲルニカ」は、戦争の場面をそのまま写真のように描いた作品ではないよ。かわりに、ゆがんだ形やばらばらに分解されたような形を使って、戦争によって引き起こされる恐怖、悲しみ、混乱を強く表しているんだ。
現在、「ゲルニカ」はスペインのマドリードにあるソフィア王妃芸術センターに所蔵されているよ。
「ゲルニカ」の基本情報
| 作者 | パブロ・ピカソ |
|---|---|
| 制作年 | 1937年 |
| 題材 | スペイン内戦中のゲルニカ爆撃 |
| 特徴 | 白黒を中心にした大きな画面、ゆがんだ形、強い感情表現 |
| 主なテーマ | 戦争の悲惨さ、暴力への怒り、平和への願い |
たろう
くまごろう2. ピカソとはどんな画家か
パブロ・ピカソは、20世紀を代表するスペイン出身の画家だよ。
ピカソは、ものをひとつの方向から見た形だけで描くのではなく、正面・横・上など、いろいろな方向から見た形を組み合わせて表す表現を追求した画家として知られているんだ。
このような表現は、キュビスム(立体主義)と関係が深いよ。キュビスムでは、対象を立方体や面のように分解し、組み立て直すように表すことがあるんだ。
「ゲルニカ」でも、人や動物の体は自然な形ではなく、ゆがんだり、分解されたり、重なったりして描かれているよ。これは、戦争によって世界が壊されてしまったような不安や混乱を表す効果にもつながっているんだ。
ピカソの表現のポイント
- ものを一方向からだけでなく、複数の視点からとらえる。
- 形を分解したり、組み合わせたりして表す。
- 見たままの形よりも、感情や考えを強く伝える表現をする。
3. 「ゲルニカ」が描かれた時代背景

「ゲルニカ」が描かれた1937年ごろ、スペインではスペイン内戦が起きていたよ。
スペイン内戦とは、スペイン国内で政治的な対立が激しくなり、国の中で大きな戦いが起きた出来事なんだ。
1937年4月26日、スペイン北部のバスク地方にあるゲルニカという町が爆撃された。この出来事が、ピカソが「ゲルニカ」を描くきっかけになったとされているよ。
この爆撃は、スペイン内戦でフランコ軍側を支援したナチス・ドイツのコンドル軍団などによって行われたとされているよ。つまり、スペイン国内の内戦でありながら、外国の軍事力も関わっていた出来事なんだ。
ピカソは、戦争で苦しむ人々や、暴力によって日常が壊される恐ろしさを、絵画によって世界に伝えようとしたんだ。
この作品は、単にひとつの町の出来事を描いたものにとどまらず、戦争や暴力そのものへの強い抗議を表す作品として受け止められているよ。
時代背景のポイント
- 1930年代、スペインでは内戦が起きていた。
- 1937年4月26日、ゲルニカという町が爆撃された。
- 爆撃には、フランコ軍側を支援したナチス・ドイツのコンドル軍団などが関わったとされる。
- ピカソは、この出来事をきっかけに「ゲルニカ」を描いた。
- 作品には、戦争への怒りや悲しみがこめられている。
4. なぜ「ゲルニカ」という題名なのか
ゲルニカとは、スペイン北部のバスク地方にある町の名前だよ。
この町が爆撃されたことをきっかけに、ピカソは大きな作品を制作した。そのため、作品の題名も「ゲルニカ」と呼ばれているんだ。
ただし、作品の中には、町の建物や地図のような具体的な風景がはっきり描かれているわけではないよ。
ピカソは、特定の場所を細かく説明するよりも、爆撃によって生まれた苦しみや混乱、戦争そのものへの怒りを象徴的に表したんだ。
だから「ゲルニカ」は、ひとつの町の名前であると同時に、戦争の悲惨さを伝える象徴のような作品になっているんだね。
5. なぜ白黒で描かれているのか
「ゲルニカ」は、色鮮やかな作品ではなく、白・黒・灰色を中心に描かれているよ。
白黒で描かれていることで、画面全体に重く、冷たく、緊張した印象が生まれているんだ。明るい色を使わないことで、戦争の悲しみや恐怖がより強く伝わってくるよ。
また、白黒の画面は、新聞写真や記録写真のような印象にもつながると考えられるよ。実際に起きた出来事を伝える「記録」のような重みを感じさせるんだ。
もし「ゲルニカ」が明るい色で描かれていたら、作品の印象はかなり変わっていたかもしれないね。
白黒表現の効果
- 戦争の重さや悲しみを強く感じさせる。
- 画面全体に緊張感が生まれる。
- 新聞写真や記録写真のような印象につながる。
- 色の美しさよりも、形や表情の力に注目させる。
たろう
くまごろう6. 作品に描かれた主なモチーフ

「ゲルニカ」には、人間や動物、光、武器など、さまざまなモチーフが描かれているよ。
ここでいうモチーフとは、作品の中に描かれているものや、表現の中心になる題材のことだよ。
「ゲルニカ」のモチーフは、ひとつひとつがはっきりした答えを持っているわけではないんだ。ピカソ自身も、すべての意味を一つに決めて説明したわけではないので、見る人によって解釈が分かれることがあるよ。
つまり、「牛は必ずこれを表す」「ランプは必ずこれを表す」と暗記するより、そのモチーフがどのように描かれていて、作品全体の中でどんな印象を生んでいるかを考えることが大切なんだ。
中学美術では、それぞれのモチーフがどのような印象を与え、戦争の悲惨さをどう表しているかを、作品の根拠をもとに読み取ることが大切だよ。
| モチーフ | 注目するポイント | 読み取りやすい印象 |
|---|---|---|
| 牛 | 画面左側に描かれている動物 | 力、不気味さ、見守る存在など |
| 馬 | 画面中央で苦しんでいる動物 | 痛み、混乱、犠牲 |
| 母子 | 子どもを抱いて泣き叫ぶ母親 | 悲しみ、失われた命、戦争の被害 |
| 兵士 | 倒れ、体が分断されたように描かれる人物 | 破壊、死、抵抗 |
| ランプ・電球・光 | 画面上部や手に持たれた光 | 真実、希望、監視、不安、爆発など |
| 炎・叫ぶ人物 | 苦しみながら逃げるような姿 | 恐怖、混乱、逃げ場のなさ |
モチーフの意味は一つに決めつけず、作品の中でどのように描かれているかを根拠にして読み取ることが大切だよ。
7. 牛・馬・母子・兵士は何を表しているのか
「ゲルニカ」で特に目を引くのが、牛、馬、母子、兵士の姿だよ。
画面左側の牛は、どっしりとした姿で描かれているけれど、その意味は一つに決まっているわけではないよ。暴力や不気味な力を表していると考えることもできるし、苦しむ人々を見ている存在として考えることもできるんだ。
中央の馬は、大きく口を開けて苦しんでいるように見えるよ。馬の体はゆがみ、痛みや混乱が強く伝わってくる。戦争によって傷つけられた人々や社会を象徴しているようにも読み取れるね。
母子の姿は、戦争で大切な命が失われる悲しみを強く表しているよ。母親の顔や口の形からは、叫びや絶望のような感情が伝わってくるんだ。
倒れた兵士は、戦争によって命や体が壊されることを表していると考えられるよ。手には折れた剣が描かれ、その近くに小さな花が見られることもある。破壊の中にも、わずかな希望や再生の可能性を感じ取ることができるんだ。
たろう
くまごろう8. ランプ・電球・光は何を表しているのか
「ゲルニカ」には、画面の上部に強い光のようなものが描かれているよ。また、手にランプを持っている人物のような姿も見られるんだ。
画面上部の光は、電球のようにも、目のようにも見える形で描かれているよ。そのため、さまざまな解釈がされているモチーフなんだ。
たとえば、光は真実を照らすものとして考えることができる。戦争で起きた悲惨な出来事を隠さず、明るみに出すような働きがあると読むことができるんだ。
一方で、画面上部の電球のような光は、神の目のように見えると解釈されることもあるよ。すべてを見ている目のように感じられるため、監視されているような不安や、逃げ場のなさにつながることもあるんだ。
また、強い光の形は、爆弾の爆発や、爆撃のまぶしい光を思わせるものとして読まれることもあるよ。希望の光というだけでなく、恐怖や破壊の光としても見ることができるんだ。
このように、「ゲルニカ」のランプや電球、光は、希望・真実・監視・不安・爆発など、複数の意味を感じさせる複雑なモチーフなんだ。
作品全体が白黒で、叫びやゆがんだ形に満ちている中でこの光を見ると、明るさがあるのに安心できない、むしろ不安や緊張を強める存在にも見えてくるよ。
光の読み取り方
- 真実を照らすものとして読むことができる。
- 戦争の悲惨さを明るみに出す表現として考えられる。
- 電球が目のように見えるため、「神の目」や監視の印象につながることがある。
- 爆弾の爆発や、爆撃の光を思わせるものとして読まれることもある。
- 希望と恐怖の両方を感じさせることがある。
9. キュビスム的な表現とは

「ゲルニカ」では、人や動物の形が、写実的にそのまま描かれているわけではないよ。
顔や体はゆがみ、分解され、いくつもの面が組み合わさったように見える。正面から見た形と横から見た形が、ひとつの画面の中で同時に表されているようにも感じられるんだ。
このような表現は、ピカソが深く関わったキュビスムと関係があるよ。
キュビスムでは、ものを一つの視点からだけでなく、いろいろな方向から見た形を組み合わせて表すことがあるんだ。立体をばらばらに分解し、平面の上で組み立て直すような表現ともいえるよ。
「ゲルニカ」では、この分解されたような表現によって、戦争で世界が壊され、秩序が失われたような印象が強くなっているんだ。
キュビスム的な表現のポイント
- 形を分解して表す。
- 複数の視点から見た形を組み合わせる。
- 写実的な形よりも、感情や考えを強く伝える。
- 「ゲルニカ」では、混乱や破壊の印象を強めている。
10. 「ゲルニカ」から伝わること
「ゲルニカ」から強く伝わってくるのは、戦争の悲惨さだよ。
画面の中では、人も動物も苦しみ、叫び、倒れている。そこには、勝利の場面や英雄的な姿はほとんど描かれていないんだ。
ピカソは、戦争をかっこよく見せるのではなく、戦争によって傷つけられる人々の苦しみを、強烈な形で表したと考えられるよ。
だから「ゲルニカ」は、特定の戦争だけではなく、あらゆる戦争や暴力に対する警告として受け止められているんだ。
作品を鑑賞するときは、「こわい」「暗い」「わかりにくい」で終わらせるのではなく、なぜそう感じるのかを、色・形・構図・モチーフに注目して考えることが大切だよ。
11. 鑑賞文で書くポイント

「ゲルニカ」の鑑賞文を書くときは、ただ「すごいと思った」「こわいと思った」だけではなく、作品のどこからそう感じたのかを書くことが大切だよ。
鑑賞文では、次の3つを意識すると書きやすくなるよ。
鑑賞文の書き方
- 見つけたこと:何が描かれているか。
- 感じたこと:そこからどんな印象を受けたか。
- 根拠:なぜそう感じたのか。色・形・構図・表情などを使って説明する。
たとえば、次のように書くことができるよ。
鑑賞文の例
「ゲルニカ」は、白黒を中心に描かれているため、明るさや楽しさよりも、重く不安な印象が強く伝わってくる。画面の中では、人や動物がゆがんだ形で描かれ、口を大きく開けて叫んでいるように見える。そのため、戦争によって日常がこわされ、人々が苦しんでいる様子が強く表されていると感じた。」
もっと短く書くなら、次のような形でもよいよ。
短い鑑賞文の例
「白黒の画面と、ゆがんだ人や動物の形から、戦争の不安や苦しみが伝わってくる。特に、叫ぶような表情から、逃げ場のない恐怖を感じた。」
このように、感じたことと作品の中の根拠を結びつけると、鑑賞文として説得力が出るよ。
| 見るポイント | 書けることの例 |
|---|---|
| 色 | 白黒なので、重く不安な印象を受ける。 |
| 形 | ゆがんだ形や分解された形から、混乱や苦しみを感じる。 |
| 表情 | 叫ぶような口や大きく開いた目から、恐怖や悲しみを感じる。 |
| 構図 | 画面全体に人物や動物が密集していて、逃げ場のなさを感じる。 |
| モチーフ | 母子、馬、兵士などから、戦争の被害や犠牲を考えられる。 |
| 時代背景 | ゲルニカ爆撃をきっかけに描かれたことから、戦争への抗議を読み取れる。 |
12. ピカソにまつわる有名な言葉とエピソード
ピカソには、芸術や「ゲルニカ」に関する有名な言葉やエピソードがいくつか伝えられているよ。
たとえば、ピカソの言葉として、「芸術は、真実を理解させるための嘘である」という意味の言葉が紹介されることがあるんだ。
これは、「絵は現実そのものではないけれど、現実の奥にある真実を伝えることができる」という考え方につながるよ。「ゲルニカ」も、爆撃の様子を写真のように描いたわけではないけれど、戦争の恐ろしさや人々の苦しみを強く伝えているんだ。
また、ドイツ軍将校が「これはあなたが描いたのか」とたずねたとき、ピカソが「いや、あなたたちがやったのだ」という意味の返事をした、という有名な逸話も紹介されることがあるよ。
この逸話は、「ゲルニカ」がただの絵ではなく、戦争や暴力への強い抗議として受け止められてきたことを感じさせる話だね。
ただし、こうした言葉やエピソードは、資料によって表現や細かな場面が少し違うことがあるよ。テストでは、まず作者・制作年・時代背景・表現の特徴・作品から読み取れることを優先して押さえよう。

13. 重要語句まとめ
最後に、この単元で出てきた重要語句を確認しておこう。
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| ゲルニカ | ピカソが1937年に制作した、戦争の悲惨さを表す代表的な作品。 |
| パブロ・ピカソ | 20世紀を代表するスペイン出身の画家。 |
| スペイン内戦 | 1930年代のスペインで起きた国内の戦い。 |
| ゲルニカ爆撃 | 1937年4月26日にスペイン北部の町ゲルニカで起きた爆撃。「ゲルニカ」制作のきっかけになった出来事。 |
| コンドル軍団 | スペイン内戦でフランコ軍側を支援したナチス・ドイツの航空部隊。ゲルニカ爆撃に関わったとされる。 |
| モチーフ | 作品の中に描かれているものや、表現の中心になる題材。 |
| キュビスム | 対象を分解し、複数の視点から見た形を組み合わせて表す表現。 |
| 象徴 | あるものを通して、別の意味や考えを表すこと。 |
| 鑑賞 | 作品を見て、形・色・構図・背景などから意味やよさを考えること。 |
この単元で特に大切なこと
- 「ゲルニカ」は、ピカソが1937年に描いた作品。
- スペイン内戦中のゲルニカ爆撃をきっかけに描かれた。
- ゲルニカ爆撃には、フランコ軍側を支援したナチス・ドイツのコンドル軍団などが関わったとされる。
- 白黒を中心にした画面が、重く不安な印象を強めている。
- 牛・馬・母子・兵士・ランプ・電球などのモチーフが描かれている。
- モチーフの意味は一つに決めつけず、作品の中の描かれ方を根拠に考える。
- 形がゆがみ、分解されたように表されている。
- キュビスム的な表現によって、混乱や苦しみが強く伝わる。
- 鑑賞文では、感じたことと作品の中の根拠を結びつける。
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

