「分子」と「化学式」とは?分子の構造を化学式で表す方法を解説
中学理科で学習する「分子」と「化学式」について、分子と原子の違い、化学式とはどういうものか、化学式で分子の構造をどうやって表すのかの基本的な考え方をわかりやすく解説しているよ。
中学理科で覚えるべき、高校入試でもよく出る重要な化学式を一覧にまとめているので、チェックしよう!
目次
ここまでは、原子や元素について学習したよ。今日の学習は「分子」と「化学式」なんだ。今学習している分野は理科のなかでは化学という分野なんだけど、新しいことばがたくさん出てくるよ。そのことばを正しくわかることができれば、むずかしい内容ではないからいっしょに楽しく今回の学習も進めようね!
分子とは
分子は「物質の性質を示す最小単位の粒子」とされているよ。
あれ?でもこれ、原子のことも同じような説明だったよね。
原子も「「これ以上分解することのできないとても小さな粒子」と説明していたもんね。
では原子と分子って、いったい何が違うんだろう?
この区別をすることもとても大切なんだ。
ちょっと例を出して考えてみよう。
たとえば、2つの物質、水と酸素について考えてみるよ。
水を例に分子と原子を考えてみよう
電気分解の実験で、水は酸素と水素という2つの元素からできていることがわかったね。
水素原子が2つと酸素原子が1つ結びついて水はできているんだったね。
この組み合わせがいちばん小さな「水」という物質だよ。
この水素原子2つと酸素原子1つが合わさっているものを「水分子」と呼ぶんだ。これ以上わけてしまうと、水ではなくなってしまうんだ。原子が2つ以上合わさって分子はできているんだね。
イメージするなら、分子は「ハンバーグ」かな。
ひき肉や、パン粉、卵など、いろんな材料(原子)が組み合わさることで、「ハンバーグ」というものだと呼べるような物質になっているよね。
どんなに小さくても、ひき肉やパン粉、卵などをこねて焼いたらハンバーグになっているよね。それが「最小単位の粒子」というイメージ。
でも、そこからさらに分解されて、ひき肉やパン粉、卵にバラバラになってしまったら、それを見て「ハンバーグだ」という人はいないよね。
それが「原子」。
原子も、分子も、「とーっても小さい粒子」というのは同じ。
でも、原子は「素材そのもの」。分子は、原子が組み合わさって「ある物質」と呼べるようなものになった最小単位ということだね。
酸素を例に原子と分子を考えてみよう
次に酸素だよ。酸素は空気の中に含まれている物質だね。
じゃあ酸素は空気のなかにはどんなふうに含まれているんだろう?
酸素は空気中では「気体」の状態で存在するんだ。その酸素が気体として存在しているときは、原子が2つ結びついているんだ。
どうして原子が2つ結びついているのかというと、酸素原子は1つで存在するには不安定で、安定な状態になるため原子2つが結びついて「酸素分子」になるんだ。
さっき、分子は「物質の性質を示す最小単位の粒子」と説明したよね。
小学校の理科で実験したと思うんだけれど、酸素は「物を燃やすはたらきのある気体」だったよね。
「物質の性質」とは、この「はたらき」とおなじイメージ。
つまり、酸素は原子のままでは「酸素としての性質=物を燃やすはたらき」はないということだね。
酸素原子が2つ結びついて、「酸素分子」になることでやっと「酸素としての物質を示す最小単位の粒子」になるということだよ。
ほかに水素も原子が2つ結びついて「水素原子」として存在するんだ。
余裕があったら読もう!
この分子の存在について考えたのが、イタリアのアボガドロなんだ。
ドルトンが原子論を発表した後に、アボガドロは分子の存在についての考えを発表したよ。
このアボガドロはほかにも化学を学習するときに大切な法則も発見していて、覚えておいてほしい人物の1人だよ。
ここで原子と分子についてもう一度まとめておくよ。
原子と分子 まとめ
原子:「物質をつくるそれ以上分割することのできない粒子」
分子:「物質の性質を示す最小単位の粒子」
この2つの違いを言えるようにしておこうね。この違いや、説明がわかっているかはよく定期テストなんかでも出題されるんだ。特にちゃんとわかっておいてもらいたいことなんだね。
化学式とは
原子や分子の構造をもっとわかりやすく説明するために、元素記号(アルファベット)と数字を使って表す方法があるんだ。それが「化学式」というものだよ。
さっき、「水は酸素原子が1つ、水素原子2つ結びついて出来ている」と説明したけれど、これ、いちいちこうやって言ったり書いたりしていたら大変だよね。
これをたった一言で表すことが出来るのが「化学式」なんだよ。
何の原子がいくつあつまってその物質ができているかをとても簡単に表すことができるんだ。ここからはその化学式について学んでいくよ。
水素を化学式で表すとどうなるの?
水素は水素原子が2つ結びついて水素分子として存在するよ。水素の元素記号はHだったね。「水素原子(H)が、2つ結びついているよ」という状態を、次のように表すんだ。
\(H_{2} \) (エイチツー)
どうだろう?
これならたった一言で、「水素原子が2つ結びついている」という状態を表すことができているよね。
ちなみに、化学式には「書き方のルール」があるんだ。
この場合も、HがふたつだからHHと書きたい気がするところを、化学式では記号を1つ、右下に数字を書いて\(H_{2} \)と書くんだね。そして英語でエイチツーと読むよ。
もちろん、他の物質でも同じように表すよ。
酸素を化学式で表すとどうなるの?
酸素は酸素原子が2つ結びついて酸素分子として存在するんだったね。
酸素の元素記号はO。この2つを合わせて次のように表すよ。
\(O_{2}\) (オーツー)
水素とおなじ考え方だね。
水を化学式で表すとどうなるの?
水は水素原子が2個と酸素原子が1つ結びついて存在するんだったね。
だからHが2つ、Oを1つつかって次のように表すんだ。化学式のことを知らなくても呼び方は知っている人もおおかったんじゃないかな?
\(H_{2}O\) (エイチツーオー)
どの化学式も原子の数がいくつあるかをその元素記号の下に小さな数字として書くから覚えておこうね。
炭酸水素ナトリウムを化学式で表すとどうなるの?
重曹やふくらし粉として出てきた物質だったね、名前のとおりナトリウム、水素、炭素、酸素の原子が集まってできているよ。
\(NaHCO_{3}\) (エヌエーエイチシーオースリー)
こんな風に様々な物質をどんな元素が使われているのかわかりやすく示すことができるのが化学式の便利なところだね。
ちょっと疑問。
記号の順番って、どうやってきまっているの?
どうしてナトリウムが最初とかあるの?
化学式の元素記号の順番
とっても便利な化学式だけれど、みんなが好き好きに勝手に元素記号の順番を変えてしまったら、混乱しちゃうよね。
たとえば、水のことを表すのに、「H2O」という人もいれば、「OH2」という人がいたらややこしいよね。
そこで、「世界共通のルール」が決められているんだ。
ちょっと複雑なルールなので、簡単に紹介だけするね。
ルール1:金属と、非金属が組み合わさっている場合は、金属を先にする。
さっきの炭酸水素ナトリウムの化学式は、一番最初にナトリウムの「Na」が来ていたよね。
ナトリウムは、金属なんだよ。残りの水素、炭素、酸素は金属ではないよね。
だから、ナトリウムが一番最初になるというわけ。
ルール2:元素周期表の順番通りにする
残りの水素、炭素、酸素の並びは、元素周期表の順番通りになっているよ。
確かめてみてね。
例外はあるけれど、基本的にはこの2つのルールで並び順が決まっているよ。
中学理科で覚えておきたい化学式一覧
他にも二酸化炭素:\(CO_{2}\)、炭酸水素ナトリウムの分解でできた炭酸ナトリウム:\(Na _{2}CO_{3}\)、水酸化カルシウム:\(Ca\left( OH\right) _{2}\)など、中学理科で覚えておいてほしい化学式をまとめたよ。
高校入試のためにも覚えておいてほしい化学式ばかりだよ。
とくに覚えてほしいものは太字にしているよ。
単体の化学式
物質の名前 (元素周期表順) | 化学式 |
---|---|
水素 | H2 |
ヘリウム | He |
炭素 | C |
窒素 | N2 |
酸素 | O2 |
ナトリウム | Na |
マグネシウム | Mg |
アルミニウム | Al |
硫黄(いおう) | S |
塩素 | Cl2 |
カリウム | K |
カルシウム | Ca |
マンガン | Mn |
鉄 | Fe |
銅 | Cu |
亜鉛(あえん) | Zn |
銀 | Ag |
バリウム | Ba |
白銀(ぷらちな) | Pt |
金 | Au |
水銀 | Hg |
気体は、原子1つでは不安定なので、原子が2つ結びついていることが多いよ。
金属は、原子がたくさん集まってできているので、「ここまでがひとつの分子」と分けることができないので、分子ではなく原子のままなんだ。
化合物の化学式
物質の名前 | 化学式 |
---|---|
水 | H2O |
二酸化炭素 | CO2 |
アンモニア | NH3 |
エタノール | C2H6O |
酸化銅 | CuO |
酸化銀 | Ag2O |
酸化鉄 | FeO |
酸化マグネシウム | MgO |
酸化カルシウム | CaO |
酸化アルミニウム | Al2O3 |
水酸化ナトリウム | NaOH |
水酸化バリウム | Ba(OH)2 |
水酸化カルシウム | Ca(OH)2 |
塩化ナトリウム(塩) | NaCl |
塩化銅 | CuCl2 |
塩化水素 | HCl |
塩化アンモニウム | NH4Cl |
硫化鉄 | FeS |
硫化水素 | H2S |
硫酸 | H2SO4 |
硫酸バリウム | BaSO4 |
酢酸(さくさん) | CH3COOH |
炭酸 | H2CO3 |
炭酸水素ナトリウム | NaHCO3 |
炭酸ナトリウム | Na2CO3 |
硝酸カリウム | KNO3 |
硝酸カルシウム | Ca(NO3)2 |
硝酸ナトリウム | NaNO3 |
このあとの学習では化学式を使って物質をたくさん表すことになるんだ。だから元素記号と化学式を覚えておこうね!最後に確認をしておこう。
化学式 まとめ
化学式とは「元素記号を用いて物質を表したもの」
今回学習した分子、化学式、そして様々な物質の化学式はこの後の学習でも出てくるからすぐわかるようにしておけるといいよ!
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
中学理科で覚えておきたい化学式一覧の炭酸ナトリウムが、NaCO3になってます