平均の速さ・瞬間の速さとは?違いと求め方を解説「運動の表し方」
高校物理で学習する「運動の表し方」について、「速さ」とはなにか、「瞬間の速さ」とは何か?「平均の速さ」とはなにか。それぞれの違いと求め方を解説するよ。
これから高校物理を学習する上で、そもそも「運動とはどういうことをいうのか」「速さって、明確にはどういうこと?」という部分をクリアにする必要があるんだ。
だって、色んな運動や色んな動きの速さをどんどん勉強していくのに、そもそも「運動ってどういうこと」という前提があやふやだと、困ってしまうよね。
ここでは、そのために、高校物理を学習する上での「運動とは」「速さとは」どういうことかを確認するんだよ。
少し難しい言い方をしたりして、「なんだか難しそう・・・」と身構えてしまうかもしれないけれど、よく説明を確認すると、意外と普段意識しているとおりの普通のことを言っていたりもするので安心してね。
目次
運動とは
「運動」という言葉に対しては皆、様々なイメージを持っている人がいると思う。
人が体を動かしたりすることをイメージする人もいれば、選挙運動などの「活動」という意味でイメージする人もいるかもしれないね。
だけれど、高校物理で扱う「運動」という言葉には、「時間経過につれ物体が動くこと」
つまり、人にせよモノにせよ、何かが“動く”ことという意味があるんだ。
みんなが朝起きて、外に出て、日光を浴びようとカーテンを開けたら様々なものが“動い”ていることを実感できるよね。
風に流される雲、空を飛ぶ飛行機、町を歩く歩行者、たゆむ電線など、物理ではこれらのことをすべて「運動」として扱うんだよ。
「速さ」とは
運動についての説明をしたけれど、運動を考える上で切っても切り離せない関係である、「速さ」の概念について、あらためて考えてみよう。
「速さ」っていったい何だろう?
そもそもの定義として、速さは式として下のように定められるよ。
(速さ)=(距離)÷(時間)
この式自体は小学校、中学校ですでにみんなも習ったよね。
そもそも「速さ」という概念は何のために生まれたのか、そのルーツについて触れてみよう。
何十年前か、何百年前か、はたまた何千年前か、昔の人が言った。
「俺は100メートル10秒で走れるぞ。俺のほうが凄いな!」
するとそいつに対抗する輩は言った。「俺は250メートル30秒で走れるぞ。俺のほうが凄い。」
彼らの意地の張り合いに決着がつくことはなく、次の日、それを見かねたほかの人が言いました。
「だったら、同じ時間走ってどっちがどれだけ進んだかで決着をつけたらどうだ?」
この「同じ時間にどれだけ進んだか」というものを新しい指標として用いよう、というのが速さという概念の始まりだったんだ。
この「同じ時間」というのを計算しやすいように、1秒、1分、1時間で統一したもののことを、今では「速さ」と呼んでいるというわけだね。
そして、この考え方を式にしたものが「(速さ)=(距離)÷(時間)」というわけだね。
瞬間の速さ・平均の速さとは
瞬間の速さとは
速さの定義式について説明したけれど、実は速さというのは一概にこの式だけであらわされるものではないよ。
というのも、少し考えてみてほしいんだ。
君たちが車に乗っているとき、「車を発進させてすぐの時のスピードメーターの数値」と、「しばらくたってからのスピードメーカーの数値」って同じになるかな。
モチロン、答えはNoだよね。
「速さ」というのは“常には一定とは限らない”よね。
このときの速さは、「その一瞬だけを切り取って速さの定義式に当てはめる」ことによって、数値を実際に出しているよね。
これを「瞬間の速さ」というよ。
たとえるなら、みんなが学校のテストで取る点数は、その時その時バラバラだよね。(毎回100点の子がいたら申し訳ない)
今回は70点、前回は85点、その次は65点・・・というように、その時だけを切り取った点数が「瞬間の点数」とでも言おうか。
余裕があったら読んでみよう!
ちなみに、勘のいいみんななら気づくと思うんだけど、“その一瞬“という言葉について、一瞬だけなら数値化などできないんじゃないかと思ったりしなかったかな?
そう。この「瞬間の速さ」という考え方は、数学Ⅱで扱う”微分“の考え方を使っているんだよ。
高校2年生になって、微分の考えを一度習ってみたら、このことについてもう一度考えてみてね。
「瞬間の速さ」についての理解が深まるよ。
平均の速さとは
この「瞬間の速さ」をその都度いちいち求めようとすると、なかなか大変だよね。
テストの点数で考えたら、親戚のおじさんに「○〇君は、テストの点数はどうなの?」なんて聞かれて、「〇月×日の点数は70点、その前の×月〇日の点数は85点・・・」なんて説明するのは大変だね。
そこで、もう少し簡単にして考えてみよう。
車の速さが変わらなかった、と仮定するんだよ。
「速さが変わらなかった」と仮定すれば、最初と最後の時間(移動にかかった時間)、そして動いた距離を式に当てはめれば、求めることができるよね。
これを「平均の速さ」というんだよ。
テストの点数だって、「いつもだいたいこれくらいの点数」という意味で、平均の点数を計算して伝えることがあるよね。それと同じだね。
余裕があったら読んでみよう!
これも勘のいいみんなならわかると思うんだけれど、この考え方は、数学における「平均変化率の考え方」と全く同じだよ。
数学では、関数の2点間を結んだ直線の傾きを調べるというものだったけれど、この時、式は下のようになったはずだよ。
(平均変化率)=(y座標の変化)÷(x座標の変化)
ここで、平均の速度の式を表してみると、
(平均の速度)=(進んだ距離)÷(経過した時間)
になるんだ。
数学の式と、物理の式。式が完全に一致しているね。
このように、物理と数学には密接なかかわりがあるんだよ。
「運動の表し方」まとめ
「運動とはなにか」「瞬間の速さ」「平均の速さ」とはなにか、まとめているよ。
運動の表し方 まとめ
- 〇時×分のように、ある一瞬を「時刻」という。
- 車の動く様子を考える時など、車の「タイヤ」など一点を決めて車がどう動いたかを考える時、その一点があるところを「位置」という。
- 位置と時刻がわかれば、物体がどれだけの時間でどれだけ移動したかがわかる。
- 時間が経つにつれて物体が動くことを「物体の運動」という。
- 基準となる時間を単位時間として、単位時間当たりの移動距離を表したものを「速さ」という。
- 速さは、「移動した距離÷かかった時間」で計算することができる。
- ゆっくり動いたり、早く動いたり、止まったり、その一瞬一瞬の時の速さを「瞬間の速さ」という。
- 物体がずっと同じペースで動いていたと考えて計算する速さを「平均の速さ」という。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。